「物価は永遠に不変」ではない

たとえば、蔵の中に眠っていた「開かずの金庫」を開けるというテレビ番組があります。

金庫の中から財宝が出てきたとネタになりますが、その財宝というのはたいてい金や銀や古銭です。これらは貨幣というよりも貴金属(商品、コモディティ)や骨董品としての価値を持つモノであり、その表面に刻まれた貨幣価値とは関係なく値段がついているモノです。

これに対して、聖徳太子の印刷された旧一万円札は使用済みのものなら一万円以上の価値は持ちません。未使用のものだと多少プレミアムはつくそうですが、それもあくまで骨董品としての価値であって、紙幣そのものの価値ではありません。まして、現在も新券が発行され大量に流通している福沢諭吉の一万円札が一万円以上の価値を持つことは、よほどのことがない限りあり得ません。

1998年から14年間もデフレが続いたので、私たちはこの感覚をもうすでに忘れているかもしれませんし、その時代よりあとしか知らない若い人も多いでしょう。また、アベノミクスが始まった2013年以降もインフレ率は平均で1%程度と、いわゆるディスインフレの状態でしたので、目に見えた物価上昇は感じられなかった人が多いと思います。あたかも物価は永遠に不変であるかのように思い込んでいませんか?

文句を言う前に株式投資をすべき

しかし、そんなことはありません。2020年に経済のパラダイムは大きく転換しました。欧米では一時、インフレ率が8%から10%まで上がってしまい、まさに1970年代の石油ショックが再来しました。

一方、日本でも2023年はコアコアCPIが4%を超えて上昇しています。これは100万円の実質的価値が翌年96万円になってしまうということを意味します。漫然と100万円を現金で所持したり、ほぼ0%の金利の普通預金に置いておくと、4万円損する。なんか理不尽ですよね。

でもこれが現実なのです。我々がいくら騒いでも、このインフレはあと36年、おそらく2060年まで続きます。デフレとインフレは40年周期で巡っているからです。だから、いまグダグダ文句を言っても資産は目減りするだけ。文句を言う前に対策をとるべきではないでしょうか?

その対策とは、先ほども申し上げた通り、価格変動リスクを取ることです。具体的に言うと、元本保証ではない金融商品を買うこと。その典型的な例が株を買うこと、つまり株式投資なのです。