モノの価値が上がれば、企業の価値も上がる
ただ、株式投資は元本保証ではありません。毎日、市場で取引され、その値段は刻一刻と変わります。逆に、元本が伸び縮みするからこそインフレに強い。元本保証ではないことが逆に強みだと思ってください。
では、そもそも株式ってなんでしょう? 株式とは企業の所有権です。では企業とはなにか? 企業とは、モノをつくったり、サービスを提供したりする組織です。
ここで再度確認しますが、インフレとはモノが不足してその価値が上がる経済現象ですよね? だとしたら、それを供給している組織の価値はどうでしょう? 当然上がるんじゃないですか? 当たり前の話です。モノの価値が上がるのに合わせて企業の価値も上がっていけば、資産の目減りを防ぐことができます。そして、そうなる可能性が極めて高い。
ただ、ここでもう一つの問題が生じます。日本中に企業は山ほどある。その中でどの業の株式を購入すればいいのか? そもそも、将来どういう商品やサービスが売れるのか予想して、それを提供する企業の株式を先回りして買うなんてことができるのか?
素人は個別株に手を出してはいけない
ハッキリ言います。個人投資家でそれができる人はいるかもしれませんが、ごくごく限られた一部の超少数派だと思ってください。個人投資家なんて、はっきり言って素人。企業分析のために財務諸表を読みこなしたり、業界のトレンドを調査するためにインタビューしたりする能力もないし、暇もありません。だから、本業でやっている人たちには絶対に勝てない。
株式市場には「頭のいい人が頭の悪い人からお金を巻き上げる」という残酷な現実があります。個人投資家が徒手空拳で参入したところで、経験豊富なプロにカモにされて終わりです。我々は逆立ちしても勝てないと思ってください。
私はよく「投資を始めたいんですが、どの株を買ったらいいですか?」と質問されることがあります。私の答えはシンプルです。どの株も買ってはいけません。
あれ? なんかおかしくないですか? ついさっきまで私はインフレに勝つためには価格変動リスクを取れと言っていましたよね。そして、価格変動リスクを取るというのは、具体的には株式を買うことだと断言していたじゃないですか! なんか矛盾していません?