「合法」として公道を走行できる

今、首都圏、近畿圏などでは、いわゆる「違法モペッド」が電ジャラス自転車として、オラオラとばかり事故を起こし、迷惑をかけ続けているというのはご存じの通り。

しかし、あれらはいざとなれば検挙できるのだ。そもそも、ナンバープレートなしで公道を走ること自体が違法・脱法なんだから。これは冒頭に紹介した電動スーツケースも一緒だ。

【画像6】白バイに聞き取りされているモペッド乗りの男性
筆者提供
筆者の目の前で検挙された違法モペッド乗り

だが、今回の電動シートボードはどうか。

「合法」なのである。

特定小型原付のナンバーを付けている限り、存在自体を否定されたりはしない。

スロットルを回したって合法。無免許でも合法。ヘルメットをかぶらなくても罰則なし。

私は現場の警察官が気の毒でならない。こんなのが危険運転をバンバンしていても、実質的に捕まえられないし、特定小型原付のナンバーは小さくて、数字がそもそも見えない。

LUUP社の罰則制度は効果があるか

LUUP社も悪質な乗り手に苦慮しているのか、違法走行に対して罰則を課す新制度を導入すると発表した。違反点数が加算されていくと、アカウントを30日間凍結し、さらにその後1年以内に違法走行をしたら無期限でLUUPに乗れなくするそうだ。この取り組みがどこまで効くのかはまだわからない。

そんな状態の中での見切り発車だ。すでに増えている電動がらみの事故は、一気に爆増するだろう。今目の前で起きていることは「人の命を代償とした社会実験」なのだ。

第一、違法モペッド乗りにこう言われたらどうするんだ。

「なんだよー、オレたちばっか捕まって、なんであの連中(電動シートボード)は捕まんねえんだよ。あいつらも無免許だし、ペダルすらねえじゃん、しかも加速ヤバいんだぜ。あっちの方が全然あぶねーよ」

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