睡眠時間を健康的に削減する方法とは

厚生労働省が推奨する成人の睡眠時間は6時間以上。しかし、「毎日6時間寝ている」という人でも、脳波を測ってみると「実際の睡眠時間は5時間」ということもしばしば。布団に入っても寝つけない時間も睡眠時間に換算してしまっていることが原因です。私が推奨する「5時間快眠法」では、「布団にいる時間はきっちり眠る」のが大原則。また、睡眠自体の質を高めることにより、日中のパフォーマンスを上げていこうとする考え方です。

遺伝的な「ロングスリーパー」はむやみに睡眠時間を減らすと健康に影響が出る恐れがあるので要注意。しかし、現状6〜10時間寝ている人のうち8〜9割は「バリアブルスリーパー」と呼ばれる体質で、健康的に睡眠時間を削れる可能性があるといわれています。

5時間快眠法には、3つのポイントがあります。①即寝・即起き、②睡眠の質向上、③仮眠の上手な活用です。順に解説していきましょう。

「生活習慣」「寝室環境」「ストレス緩和」がカギ

「即寝・即起き」とは、睡眠に付随する無駄な時間をそぎ落とすこと。「布団に入ってから眠るまで」「目が覚めてから布団を出るまで」の時間をできるだけ短くしようというものです。特に、「寝ようと思うほどに目がさえてしまう」など、「即寝」に関する悩みをもつ方は多いのではないでしょうか。

坪田聡さん
坪田聡 日本睡眠学会所属医師、雨晴クリニック院長。2006年から睡眠コーチングを創始。著書に『朝5時起きが習慣になる「5時間快眠法」 睡眠専門医が教えるショートスリーパー入門』(ダイヤモンド社)など多数。

健やかに眠りにつくためには、大きく3つの要素が関係しています。ひとつめは「生活習慣」。中でも睡眠への影響が大きいのが電子メディアの利用です。パソコンやスマホのブルーライトは文字通り青い光であり、人間はこれを見ると「日中の空の色」だと勘違い。睡眠ホルモンと呼ばれるメラトニンの分泌が減少し、寝つきが悪くなってしまうのです。就寝の1時間前にはやめるのが理想ですが、まずは30分から始めましょう。ただやめるのでは手持ち無沙汰になってしまうので、ストレッチや読書など、代替アクションを決めておくのがおすすめです。

次に重要な要素が「寝室の環境」。照明は真っ暗か、豆電球にしましょう。音は一般的に40デシベルを超えると睡眠に悪影響があるとされています。家電の稼働音だけでもこの基準を超える場合があるので、かなり静かな環境が求められます。手軽な対策としては、遮音カーテンや耳栓。逆に、「マスキング」といって、好きな音楽などをかけることで、騒音を気にならないようにするという方法もあります。さらに、「温度と湿度」も重要。温度は、冬は15〜16度、夏は26度程度、湿度は年間を通して50〜60%が理想。これからの時期は特に、就寝中も上手にエアコンを活用して夜間熱中症を防ぎましょう。

【図表】「5時間快眠法」3つのポイント