遠慮しなければ成り立たなければ「いい関係」とは言えない

私は職業柄、多くの高齢者を見てきているので、親の遺産相続できょうだいが壮絶に争うケースや、親の介護のために自分の生活を犠牲にして、結果的にほかの人間関係を失うケースなどもよく見ています。

子どもが独立したあと、夫婦で顔をつき合わせる暮らしになり、相手にうんざりしながら我慢している人も少なくありません。

和田秀樹『65歳からのひとりを楽しむ「いい加減」おつき合い』(PHP研究所)
和田秀樹『65歳からのひとりを楽しむ「いい加減」おつき合い』(PHP研究所)

自分と本当に気が合う人。この人は心の支えだと感じられて、互いに愛情を持ち、一緒にいると心が安らぎ、何でも打ち明けられる人。それが自分にとって大事な人なのであって、親や子や配偶者だから大事というわけではないのです。

そこの峻別しゅんべつをしっかり行い、自分にとって本当に大切な人間関係を見極める必要があると思います。

嫌われたくないからと相手に遠慮しているのであれば、その相手は、本当の意味で自分をわかってくれていると言えるでしょうか。

少なくとも、遠慮しなければ成り立たない関係なのであれば、夫婦であろうが、親友であろうが、その時点で「いい関係」とは言えないと思います。

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