人間関係を整理するには何をすればいいか。精神科医の和田秀樹さんは「歳を重ねてからの人づき合いのポイントは、『ラクであること』が重要だ。いま、まわりにいる人のかなりの割合を占めるのは『好きでも嫌いでもない人』であるだろう。それは相手に対して、心理的に『いい加減』な距離が保たれていて、ウェットな関係のようにストレスが溜まることがないからだ。少しドライなくらいの関係が、結局はベストバランスである」という――。

※本稿は、和田秀樹『65歳からのひとりを楽しむ「いい加減」おつき合い』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

妻からお小遣いをもらう夫
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人間関係で重要な原則「他人の心はわからない」

たとえば、あなたがお金に困る事態になったとして、まわりの人に「お金を貸してほしい」と頼むのは、かなり抵抗があると思います。

自分の恥をさらすことになるばかりでなく、相手に迷惑がられて気まずくなる可能性も高く、絶縁される覚悟さえ必要になるでしょう。

それでも頼むしかないというとき、思い切って相談した友人が手を差し伸べてくれたとしたら、その人こそ本当の親友だと実感するのではないでしょうか。本当に困っているとき、遠慮せず人に頼ってみると、自分にとって大事な関係が浮き彫りになります。

人間関係で重要な原則のひとつは、「他人の心はわからない」ということです。

親子や夫婦であっても、相手がどう思っているか、本当のところはわかりません。それをわかった気になるほうが、よほど危ういと思います。

相手の心はわからない。でも、自分が何らかのアクションを起こせば、それに対する相手の反応は確実にわかります。

お金を貸してほしいと頼めば、相手から何かしらの反応が返ってきます。率直に「自分もお金がないから貸せない」と言う人もいれば、明らかにお金をたくさん持っているのに、にべもなく断る人もいるでしょう。