頼ってみることが人間関係のリトマス試験紙

一方で、お金がないなりに、可能な限りの金額を貸してくれる人もいます。中には、よそから借りてまで用立ててくれる人もいるかもしれません。

自分の弱いところをさらけ出し、相手にとっては負担になるかもしれない相談をしたとき、親身になってくれるかどうかで、相手が本当に自分のことを考えてくれている人なのかがわかります。

もちろん、相手に頼った結果、拒絶され、関係を切られることもあると思います。そうなったとすれば、もともとその程度の関係だったということです。

多少、人間関係が減るリスクがあるとしても、それを怖れずに、素直に人に頼っていいと思います。それで相手が思ったほどこちらのことを考えていないとか、損得勘定だけでつき合っていたのだとわかれば、こちらから関係を見直せばいいことです。

むしろ、頼ってみたときに「やっぱりこの人はいい人だった」と、あらためて思えるような人でなければ、わざわざつき合う意味があるのか疑問です。

遠慮せずに頼ることは、自分にとって大事な関係を見極めるための、重要なリトマス試験紙になります。

それによって、本当に大事にしたい相手がわかると同時に、切れていい関係は切れます。結果的に、人間関係が自分にとって「ちょうどいい加減」に整うのです。

友人の付き合いを楽しむ人たち
写真=iStock.com/NicolasMcComber
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切れてもいい人間関係は切っていい

人間関係というものを、重くとらえすぎない。とくに歳を重ねてからは、それが基本です。

話していて気疲れする相手、自分が合わせなければいけない相手、言いたいことが言えない相手とつき合う必要はありません。それは歳を重ねたからこその特権です。

一方で、遠慮せずに話しかけたり、頼ったりしてみると、好ましい反応を返してくれる人もいます。そういう人とだけつき合えばいいのです。

それこそお金の相談をしたり、悩みごとを打ち明けたりしたとき、相手にすごく冷たい反応をされたら、「こんなに冷たくされるなんて」「あの人を信用して損をした」などと、嘆いたり憤慨したりするのではなく、「あの人がどういう人かわかってよかった」と思うようにしたほうがいいでしょう。

「こんなことを言ったら嫌われる」と遠慮する必要はありません。言ってみて嫌われたら、その人とはつき合わなければいいだけの話です。言ってみても嫌われず、相手とわかり合うことができたら、関係がよりよいものになります。

相手から会いたいと誘われたとき、あまり気が乗らないのであれば、断っていいと思います。

私もここ最近は仕事が忙しくなったこともあり、人からの誘いを断らざるを得ないことが多くなりました。それで切れてしまう関係もあり、結果として人間関係がかなり整理されました。

切れてもいい人間関係は切っていい。一方で、この人には先約を断ってでも会おうと思う相手もいます。その優先順位は、相手の社会的地位などではなく、会っていて自分が本当に心地いいかどうかで決まります。

歳を重ねてからの人づき合いのポイントは、「ラクであること」。

この人と話しているとラク、一緒にいてラク、互いに遠慮しなくていい。それが望ましい関係です。