虚勢を張ったり、高級品を買うのは無駄なことなのか。精神科医の和田秀樹さんは「豊かで幸せな自分をアピールして、周囲の人に対して『マウントをとる』、つまり優位に立とうとするのは、自分自身がしんどさを感じていればやめたほうがいい。でも、人がそれで気分がいいのであれば、別にかまわないだろう。何が正義で何が悪かなど、客観的な基準に基づいて規定できることは、実は世の中にはほとんどない」という――。

※本稿は、和田秀樹『65歳からのひとりを楽しむ「いい加減」おつき合い』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。

赤ワイン
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年齢を重ねて若い人に無理に合わせるのは逆効果に

習いごとなどで、若い人たちとつき合う機会があると、話を合わせようと、若い世代の間で流行しているファッションや音楽などについて、熱心に調べる人がいます。

「若さを保つためには、若い世代と交流したほうがいい」などと言われますが、そこまでしてつき合わなければいけないものかとも思います。

自分が相手に合わせて仲よく「してもらう」関係は、なるべく避けたほうがいいと思います。

こちらが相手に合わせるだけだと、相手の側からしても得るものがありません。

たとえば60代でアニメや鉄道のおたく歴50年という人は、その道の若年者が知り得ないことをいろいろ語ることができるからこそ、下の世代からも「面白い人」と認識されるのです。

「年の功」を発揮して、趣味の集まりで、それを長年やってきたからこその知識や経験を相手に教えることができれば、相手も新しい発見や知識を得られます。

反対に、60代になって新たにダンスやフラワーアレンジメントを始めて、若い人にいろいろと教えてもらうことで、いい関係が築けているのなら、それはそれでいいと思います。

教える側も気分がいいでしょうし、こちらもそのコミュニケーションを楽しむことができます。そのどちらでもなく、ただ嫌われないために相手に合わせるなどということは、年齢を重ねてからするべきこととは思えません。