「飲酒・喫煙習慣がある人」は脳が年5ml萎縮する
脳萎縮と白質病変発生の原因は枚挙にいとまがありませんが、両者に共通する大きな要素として挙げられるのは、高血圧と飲酒・喫煙習慣です。
血圧が高い人、大酒飲みの人、タバコを吸う習慣のある人は脳萎縮と白質病変の両方に関係し、過度のストレスを抱えている人は脳萎縮に強く関係すると考えています。
通常、私が主宰する脳ドック施設のデータでは、男性は1年で2ml、女性は1mlの割合で脳萎縮が進行するのですが、飲酒・喫煙習慣のある人はそれが約5mlに、仕事や人間関係などにストレスを感じている人は約10mlに増加するのです。
さらに、運動不足や睡眠不足、不規則かつ栄養バランスの偏った食事、糖尿病をはじめとする生活習慣病が脳萎縮に影響することも、付け加えておかねばならないでしょう。
脳萎縮がやる気の低下をまねく
また最近では、フレイルと脳萎縮・白質病変が密接に関係しているのではないかということが指摘されています。
脳萎縮が進み、白質病変が継続的に増加すると、高次脳機能の衰退・低下、やる気・粘り・意欲の枯渇などをまねき、それがフレイルに結びついていくとする考え方です。
フレイルとはFrailty(虚弱)の日本語訳で、日本老年医学会が2014年に提唱した、健康な状態と要介護状態の中間に位置し、身体的機能や認知機能の低下が見られる状態を指す概念を意味します。
そして、欧米の追跡調査では、白質病変とフレイルの関係が多く報告されています。
つまり、フレイルと診断されたら、それは白質病変が増えている可能性を疑ってもいいということです。