認知症にならないためには、どうすればいいのか。心理学者の内藤誼人さんは「加齢に対してネガティブな信念を持っている人より、ポジティブな信念を持っている人のほうが認知症になる割合が減るという研究結果がある。重要なのは、マイナスの自己暗示をしないことだ」という――。

※本稿は、内藤誼人『老いを楽しむ心理学』(ワニブックス)の一部を再編集したものです。

歩くビジネスマンの革靴
写真=iStock.com/key05
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ゆっくり歩く人は認知症を発症しやすい?

だれでも簡単に「将来的に自分が認知症になりやすいかどうか」をテストする方法をお教えしましょう。

それは「歩く速度」。

外を歩いているとき、他の人にどんどん抜かれてしまうようなら、将来、認知症を発症しやすいかもしれません。

英国ロンドン大学のルース・ハケットは、60歳以上の3932名を対象に、歩く速さを測定しました。

それから2002〜2003年、2006〜2007年、2014〜2015年のときに、どれくらい認知症を発症しやすいのかを調べてみました。その結果、歩くのが速い人ほど、認知症になりにくくなることがわかったのです。

ハケットは、歩くのが速い人ほど、認知症だけでなく、認知機能(記憶力や言語の流暢性など)の衰えもあまりみられないことも併せて突き止めました。

できるだけ颯爽と、大股で元気よく歩こう

読者のみなさんは、どうでしょう。

「私は健脚で、歩くのは普通の人よりも相当に早いほうだ」というのなら、おめでとうございます。認知症にはなりにくいタイプだと判断できますよ。

もし、歩くのが遅いという自覚があるのなら、今からでも遅くありませんので、早歩きするように心がけてください。

できるだけ颯爽と、できるだけ大股で、元気よく歩いてください。

もし自分の前を歩く人を見かけたら、「あの人に追いついて、追い抜いてみよう」という気持ちを持つと、自然と早歩きになります。

マラソンのような陸上競技では、ペースを上げて競技者を引っ張る人のことを「ラビット」といいます。もともとはドッグレースで、犬に兎(ラビット)の模型を追わせるところからできた言葉らしいのですが、歩くときにも「ラビット」は効果的です。