「自分もそのうちこうなる」と思うのも重要
赤ちゃんもそうですよね。赤ちゃんは、まだ言葉というものを知りませんので、「お腹が空いた」とか「オムツを取り替えてほしい」ということを伝えられません。赤ちゃんにできることといったら、大きな声で泣いたり、手足をバタバタさせたりすることくらい。
もし配偶者が認知症になってしまったら、赤ちゃんだと思ってください。
そう思って接すれば、大きな声を出されても、洋服を脱ぎ散らかしていても、「まあ、しかたないか」と許してあげることができます。
赤ちゃんが泣き喚いたからといって、そのたびに赤ちゃんを責める人はいませんよね。
認知症になってしまった人も同じ。
脳の萎縮により、言語機能がうまく働かなくなると、口ではうまく表現できなくなり、赤ちゃんと同じようなことしかできないのはしかたがありません。
認知症の人と付き合うときには、「自分もそのうち、こうなるのだから」と考える作戦も有効です。「自分だって、そのうちにこうなる」と思っていれば、かりに配偶者や家族が認知症になってしまっても、そんなに腹も立ちません。人間ならだれでも通る道なのだと思っていると、寛大な態度で接することができるのです。