SNSで情報発信する際には、どんなことに気をつけるべきか。元大阪市長・大阪府知事の橋下徹さんは「ときには炎上前提で激しい言葉を放つことも必要だ。ただし、議論のやり方には注意すべきだろう。こちらに正当な言い分があったとしても、相手と同じ土俵に乗ってやりあえば後味の悪さしか残らない」という――。

※本稿は、橋下徹『情報強者のイロハ 差をつける、情報の集め方&使い方』(徳間書店)の一部を再編集したものです。

橋下徹氏
提供=TNマネジメント

読まれない情報に意味はない

相手の関心をどう引くか。情報発信においてみんなが腐心するポイントだろう。

単にデータを羅列したような味気ない情報は誰も読んでくれない。読まれない情報は無意味だ。

だから時に、感傷的な表現、ユーモラスな表現、シニカルな表現、あるいは怒気を含んだ表現を用いて、他者との差別化をはかろうとする。

効果的な情報発信には、そうしたエモーショナルなスパイスも大切だ。

場合によっては過激な発言も有効だろう。僕がよくやる戦法である。当たり障りのない言葉だと埋もれかねない。多くの人になんとしても知ってほしい。そんなときには炎上前提で激しい言葉を放つ。

あえて根拠を示さない感情的な反論をする

ただし、SNSは公共の場だ。発信力を上げるための工夫は大切だが、社会通念を逸脱してしまえば元も子もない。

SNSをめぐるトラブルの代表格は、名誉毀損である。

評論家Aから根も葉もない言いがかりをつけられる。そうなったら僕は徹底的に反撃する。時にはケンカ腰の物言いも辞さない。

「それでよく評論家なんてやってられるな。ぜんぶデタラメ。サイテーだな。恥を知れ!」といった調子だ。

すると「橋下はたいした根拠もなく、感情的に言っている」と批判する人が出てくる。でも「公然と事実を摘示(提示)」してしまうと名誉毀損に問われかねない。だから僕はあえて根拠を示さないのである。

「評論家のA氏が嫌いだ」というのは、僕の意見、感想だ。表現の自由である。

でも「評論家A氏はかつて詐欺罪の嫌疑をかけられた。まだその疑惑は完全に晴らされていない。偉そうなことを言うまえに、まず身の潔白を証明すべきだ」というように「事実」を摘示(提示)してしまうとマズい。事情はどうであれ、A氏の社会的評価を損なわせるのだから名誉毀損になりうる。