SNS上の「やられたらやり返す」はよくない

「危険の引き受けの法理」はこれまでごく一部の刑事事件、民事事件に適用例があるものの、まさか名誉毀損の審理に持ち込まれるとは思わなかった。もちろん僕としては不服だったが、一方でそんな解釈もあるのかと妙に感心してしまった。

橋下徹『情報強者のイロハ 差をつける、情報の集め方&使い方』(徳間書店)
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要するに、あっちも悪いけど、こっちも悪い。お互いさま。自己責任でやったことなのだから裁きません。そういう見解だ。

こうした今回の判例は、名誉毀損や侮辱をめぐる今後の裁判にいくらか影響を及ぼすかもしれない。

SNS社会はますます深化し、複雑化し、雑多になっていく。それに応じて、情報発信の節度のあり方も問い直されていく。

自戒を込めて言えば、たとえこちらに正当な言い分があったとしても、相手と同じ土俵に乗ってやりあえば後味の悪さしか残らないということだ。自分の名誉を守るのは大切だ。でも、やられたらやり返す、そんな措置だけでは痛み分けに終わりかねない。

情報発信者としてのあるべき態度を再度考える良い機会になった。

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