私物のスマホを会社で充電することに問題はないのだろうか。弁護士の岡野武志さんは「刑法上、電気は財物とみなされる。充電していいかどうか前もって会社に確認したほうがいい」という――。
※本稿は、岡野武志、アトム法律事務所『おとな六法』(クロスメディア・パブリッシング)の一部を再編集したものです。
「先生がスマホを没収」は犯罪なのか
のりちゃん 授業中にスマホ使ってたら、先生に没収されることってあるじゃないですか!
岡野タケシ さすがに授業中に使ってたら没収されるんちゃう?
のりちゃん そのあとに、先生がスマホ捨てちゃったら、どうなるんですか⁉
岡野タケシ せやな〜。捨てたらちょっと問題になるやろな〜。
岡野タケシ さすがに授業中に使ってたら没収されるんちゃう?
のりちゃん そのあとに、先生がスマホ捨てちゃったら、どうなるんですか⁉
岡野タケシ せやな〜。捨てたらちょっと問題になるやろな〜。
そもそも論として、物には一つひとつに所有者がいる。
生徒が持っているスマホは、もちろんその生徒(または親)が所有者になる。
もし、先生がスマホを校則などに基づいて没収したとしても、所有者は元々スマホを持っていた生徒(または親)のまま。先生に所有権が移ることはない。
生徒が授業中に使っていたスマホを先生が一時的に没収するだけなら、教育上必要な対応として問題ない。けれど、先生が生徒から没収したスマホを勝手に処分したら、所有者の権利を侵害したとして犯罪になる。
勝手に捨てたら「器物損壊罪」
たとえば、先生が没収したスマホを勝手に捨ててしまったら器物損壊罪。
先生が没収したスマホを自宅に持ち帰って勝手に自分のものにしてしまったら業務上横領罪になる。
先生が合法的に生徒のスマホを処分するためには、処分する前に所有権者に「スマホに対する所有権を放棄します」といった同意書を書いてもらわないといけない。
ちなみに、このような同意書は警察が差し押さえた被疑者の所有物を廃棄するときにも書いてもらっている。
授業中にスマホを使っている生徒も問題やけど、先生がそのスマホを没収して捨ててしまうのはもっと問題やな。もしそういうことがあったら、ちゃんと親や周りの先生に相談するんやで!