コーヒーを量増しする行為は「万引き」になる
昨年12月、福岡県飯塚市のコンビニでレギュラーコーヒー(110円)を購入し、カフェラテ(190円)を注いだ50代女性が万引きした疑いで逮捕されたニュースが話題になりました。
また、今年1月には、兵庫県高砂市の市立中学の男性校長がコンビニのセルフコーヒーでレギュラーサイズ(110円)のカップにラージサイズ(180円)の分量を注ぎ入れる「量増し」による万引きを繰り返し、書類送検されて懲戒免職になったニュースも報じられました。
これらのニュースを耳にした方の中には
「なぜ、詐欺ではなく万引きになるのか?」
「ボタンを押し間違えてしまった場合も罪に問われてしまうのか?」
「数十円や数百円分の万引きで逮捕や免職されるのは行き過ぎではないか?」
といった疑問を持たれる方もおられるのではないでしょうか。
本記事では、上記のような疑問について、法的な観点から解説します。
コーヒーマシンはコンビニが占有する財物
万引きというのは一般用語であり、法律上は窃盗罪の一種です。窃盗罪は刑法第235条で「他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、10年以下の懲役又は50万円以下の罰金に処する」と規定されています。
窃盗罪が成立するためには以下の4つの要件を満たす必要があります。
① 他人の占有する財物であること
② ①を窃取すること
③ 故意があること
④ 不法領得の意思があること
一つ一つの要件について詳しく解説していきましょう。
① 他人の占有する財物であること
「占有」とは、お金や品物を管理・支配している状態のことです。直接手に持っていたり身に着けたりしていなくても、お金や品物をコントロールできる状態ならば「占有している」とみなされます。
冒頭のニュースで検討すると、コンビニに設置されているコーヒーマシン内のコーヒーやカフェラテはコンビニが管理・支配しているので、①の要件を満たします。