自分が利用・処分する意思があるかどうかが重要

④ 不法領得の意思があること

「不法領得の意思」とは、権利者(今回のケースではコーヒーの占有の権利を持っているコンビニ)を排除し、他人の物を自分の所有物として、そのものの本来の使い方に従って利用又は処分する意思(最判昭和26年7月13日)のことをいいます。

判例では、窃盗罪の成立要件として、窃盗をした人が故意と不法領得の意思の両方を持っていることが必要とされています。これは、窃盗罪とお金や品物の一時使用や、窃盗罪よりも軽い毀棄・隠匿罪とを区別するためです。

冒頭のニュースで検討すると、カフェラテやラージサイズの分量のコーヒーを注ぎ入れる行為は、コンビニに返さずそのまま自分で飲んでしまおうと考えているのが通常と思われますので、その場合は④の要件を満たします。

相手がコーヒーマシンなので詐欺罪は成立しない

冒頭のニュースを耳にした方の中には、コーヒーの「量増し」は窃盗罪(万引き)ではなく詐欺罪が成立するのではないかと思った方もいるかもしれません。

詐欺罪は刑法第246条で「人を欺いて財物を交付させた者は、10年以下の懲役に処する」と規定されています。コーヒーマシンのような機械に対する詐欺的行為は、「人を欺く」行為ではないため、詐欺罪とはならないのです。

しかし、カフェラテやラージサイズの分量のコーヒーを注ぐ意図を隠してレギュラーサイズのカップを購入した場合は、店員さんを騙したことになるので、詐欺罪が成立する余地が出てきます。ただし、詐欺罪が成立するにも故意が必要なので、カップを購入する時点で騙す意図があったことをしっかりと立証する必要があるのです。

上記のような背景を踏まえると、冒頭のニュースでは詐欺罪ではなく窃盗罪(万引き)で逮捕・書類送検となったと考えられます。