韓国が世界最悪の少子化に喘いでいる。フリージャーナリストの泰梨沙子さんは「韓国の合計特殊出生率は0.72で世界最低水準。このため人手不足が深刻化しつつあり、不法滞在のタイ人急増が問題となっている」という――。
韓国での人生設計が描けない
「ソウルで結婚して子供を育てるのは、いま本当に難しいことなんだ」
筆者がタイの首都バンコクで知り合った韓国人男性のユンさん(30代)は、韓国での人生設計が描けず、20代の時、語学留学でタイに渡った。タイの有名校で経営学修士号(MBA)を取得し、現在は韓国人男性とタイ人女性をマッチングするお見合いサービスのローンチに向けて準備しつつ、本人もタイへの移住計画を進めている。
ユンさんは韓国の少子化について次のように語る。
「韓国で結婚するためには、まず男性が家を購入しなければいけない。でも、ソウルの不動産は高く、到底手が出せない。学歴や就職する企業で評価される、韓国の超競争社会に息が詰まっている人も多い。物価がまだ安くて、生活がしやすいタイに移住したがる韓国人は多いんだよ」
50年後には4割減になってしまう
韓国統計庁は2月28日、2023年の合計特殊出生率(1人の女性が生涯に産む子どもの推定人数)が、過去最低の0.72だったと発表した。22年の0.78から、0.06ポイントも下がっている。
経済協力開発機構(OECD)加盟国の中で、出生率が1を下回るのは韓国のみだ。1.26(22年)の日本と同様、韓国はいま深刻な少子高齢化に直面している。
韓国で23年に生まれた子どもの数は約23万人。10年前と比べて半分近くまで減少し、こちらも過去最低を記録している。
このまま少子化が進めばどうなるか。出生率を低く見積もった「悲観的なシナリオ(低位)」の場合、韓国の人口は、22年の5167万人から、50年後の2072年には3017万人と、4割以上も減少する見通しだ。