支援金の「ステルス値上げ」は必至
「これでは、少子化対策という名を騙った増税ではないか」
2月16日に閣議決定された「異次元の少子化対策」の関連法案を受け、SNS上ではこうした大きな非難の声があがりました。
今回の法案では、児童手当の拡充や育休給付金の充実などのほか、「こども誰でも通園制度」の導入なども盛り込まれていました。同時に、これらの政策の財源として「子ども・子育て支援金制度」を創設することも明記されましたが、非難の的はまさにここに集中しました。
この「子育て支援金」について、岸田首相は「実質的な社会保険負担増にはならない」という旨の発言を繰り返していますが、誰がどう見ても「負担増」であり「増税」だからです。
この支援金分の徴収は、ひとり当たり月500円や初年度は300円などと言ったかと思えば、月1000円を超えるなどと少子化担当大臣の答弁がコロコロと変わり、一体何が正しいのかすらわからない状態てす。いずれにしても、支援金の徴収額は、これから毎年のように少しずつステルス値上げされていき、いつしか当初の何倍もの金額に膨れあがることだけは間違いないでしょう。
それは、今までの社会保険料の負担増の推移を見れば明らかです。「小さく始めて大きく徴収する絶対解約できないサブスク」のようなものです。
「異次元の少子化対策」で出生数は増えない
当初、政府の少子化対策として児童手当の拡充が喧伝された際に歓迎の声をあげた子育て世帯の人からでさえ、この政府のカラクリに対し「配った上で、その後徴収するのなら最初から配らなくていい」という声すらあがっています。
それはそうでしょう。児童手当の金額や対象年齢が拡大されたところで、その給付金額を相殺するように、年少扶養控除などが廃止や縮小をされてきたわけです。その一方で、税金や社会保険料などを含む国民負担率は毎年のようにあがっているのですから。
今回の「子育て支援金」も各所から徴収したものを一度ブラックボックスに格納した上で分配されるお決まりのスキームになっていますが、徴収した金額のうちどれくらいが利権や中抜きのために無駄に使われるかわかったものではありません。そんなことをされるくらいなら、「最初から取るな」と言いたいのは当然でしょう。
私は、この「異次元の少子化対策」が言われ始めた当初から、子育て支援一辺倒の少子化対策は、本来の少子化対策としての出生増にはつながらないと当連載でも何度も書いてきました。