貯めるなら、お金よりも「筋肉」

ここまでお金の考え方をお話ししてきました。「貯める」ばかりではなく、「いまを楽しむために使う」ことの大切さをお伝えしたつもりです。その上で、実はお金よりも貯めておいてほしいものがあります。

未来においてお金以上に“絶対に”役に立つものです。いったいなんだと思いますか?

答えは「筋肉」です。大まじめに言っています(笑)。「あ、自分には無理だな」と思ったあなた。それは早合点です。

ある著名なスポーツトレーナーは、自分の母親が90歳を過ぎて寝たきりであったところ、毎日少しずつトレーニングをさせて、100歳を超えてから片足でスクワットできるまでに回復させたそうです。もちろん、人それぞれ体力差がありますから、無理は禁物です。しかしだからこそ、筋肉は自分の方法でコツコツと貯めるべきです。

筋肉は体重の4~5割を占めています。筋肉は、体を動かすだけではなく、支えたり、エネルギーを貯蔵したりという役割も担っています。

筋肉量は、成長と共に増えていきます。そのピークは20歳頃で、そこから筋肉量は徐々に減り始めます。70代になると、20代のなんと4割程度に減ってしまいます。

減り方には個人差もありますが、30~50代に運動をあまりせずに過ごすと、筋肉が急激に減少し早死にするリスクが高まります。

「歩くのが速い人は寿命が延びる」というデータも

反対に、筋肉量が多いほど長生きできる確率が高まるようです。

例えば「75~84歳の高齢者の歩く速さ」と「10年後の生存率」を調べた研究によると、「普通以上の速さ(毎秒1.4m以上)で歩けるグループ」と「歩行速度が遅い(毎秒0.4m未満)グループ」とでは、10年生存率に約3倍もの開きがあったそうです。

スニーカーのひもを結ぶ人
写真=iStock.com/Mladen Zivkovic
※写真はイメージです

「歩くのが速い人」、つまり「筋肉量が多い人」ほど長生きできる可能性が高いということですね。

そう言われると自分の歩く速さが気になりますよね。

でも安心してください。いま、「歩くのが遅い人」も、運動を習慣化したり食生活を改善することで速く歩けるようになれば、生存率は伸ばせます。

健康のために「生活改善をしましょう」という呼びかけは、もう耳タコですよね。

食べ物やサプリ、運動、睡眠。気にかけなければいけないことが多すぎて、ちょっと面倒になってしまいます。私だってそうです(笑)。

そんな場合、ぜひ「筋肉」に注目してください。

「あらゆる要素の中で、健康寿命に最も貢献するのが筋肉量である」

この事実は、さまざまな研究ですでに証明されています。