お金持ちだから車を持てるのではない

私の富裕な友人に“大の車好き”がいます。もう何年間も、所有する車は3台を下回ったことはありません。

しかし、彼はお金持ちになってから車を持つようになったわけではありません。学生時代から車を所有していました。確か中古のVWゴルフIIだったと記憶しています。

彼はアルバイトで頭金を工面し、車を手に入れた後もバイトを掛け持ちして毎月ローンを返していました。それも数年おきに車を乗り換えながらです。

彼の20代の車遍歴は4台で済まなかったはずです(まだ裕福ではなかったので、常に“1台持ち”ではありましたが)。

「バイト生活で目当ての車をなんとか手に入れ、丁寧に乗り、それを下取りに出して次の愛車を手に入れる」

彼はそんなサイクルを繰り返して、自動車好きの生活を楽しんでいました。

それと並行して、起業してがむしゃらに働き、40代でなんとか軌道に乗せると、使えるお金も増えたのでしょう、いまでは車3台持ちです。

誰しも彼を見て「お金持ちだから、車を趣味にできるのだ」と思うようです。車を3台も持てるのは、確かに成功したからでしょう。

でも彼はお金持ちになる前から、車が趣味なのです。それは、友人である私がよく知っています。

自分を喜ばせ、ほかの部分では「1円も無駄にしない」

彼は苦しい中で、なんとかやりくりしながら「車で得られる喜びを糧にして仕事を頑張る」、そんな人生を楽しんできたわけです。彼にとっては、事業が成功したことも、所有する車が3台になったことも、たまたまの結果にすぎません。

私たちの多くは富裕層ではありません。しかし、彼だって富裕層ではありませんでした。人生の喜びと金銭の多い少ないは関係ないのです。

お金はなく“ても”、余裕はない“けど”、人生をうんと楽しむことはできるし、またそうすべきです。

未来を恐れてすべての喜びを先延ばしにしたり、切り詰め続けたりするのではなく、いまを適度に楽しみ、自分自身を喜ばせ、そのほかの部分では「コスパを追求して、1円も無駄にしない」。そうした生活こそ、未来への真の対策であり、幸せな人生設計なのです。

意外に思うかもしれませんが、過度でなければ、倹約さえ楽しむことができます。

「もしコスパの追求と無駄を排した生活」を「つらいもの」とイメージしているなら、その考えは改めるべきです。

節約、倹約する生活を楽しんでいる人や、SNSで節約生活のコツを発信している人は数多くいます。私も時々見ていますが、「上手な倹約生活」は「なるほど!」というアイデアに満ちた、普通の暮らしよりも楽しそうな暮らしです。

みなさんも、お気に入りの発信者をぜひ探してみてください。そんな「素敵な人」探しがあなたの趣味の一つに加わったとしたら、一石二鳥ですよね。