経済の専門家でも未来を正確に予測することはできない

それにより「厚生年金を受給している妻の割合」が増えた点も、考慮に入れねばならないでしょう。「10万円の給付金」を受け取っていなくても、コロナによる自粛や統計のとり方の変化で、黒字にはなりそうですよね。

「2000万円の赤字」から「40万円の黒字」へと未来予想が一転した理由はおわかりいただけたかと思います。つまりは「現時点での収支」で30年間分を、エイヤとまとめて試算をしただけなのです。

人はその時々に合わせ、やりくりをしながら生活していくものです。

データを見ると、現に2018年と2020年では生活費が1万円も節約されています。

1カ月単位で考えると「たった1万円」かもしれません。ですが、これが30年も続けば、合計では30年間では360万円の節約になります。

目安なので仕方がないとはいえ、こうした計算は少々雑に感じられます。しかし、経済の専門家でも、未来を予測するとなると、ざっくりした計算にならざるを得ないのです。未来とは、それほど正確に考えようがない、よくわからないものなのです。

事実、年ごとに予測が赤字になったり黒字になったりするという、ややこしい顛末となりました。私たちとしては、ハラハラさせられるばかりです。

金融庁が不安を煽るようなことを伝えるワケ

さまざまなデータを見ていると、日本の「家計金融資産額」は、世界的に見てもかなり高い額です。「資産を現金で持っている額」(=タンス預金)もかなりのもの。

実は、日本のタンス預金率は、ダントツで世界1位です!

つまり、お金を持ってはいるけれど、投資に回したりはせず、現金で大切に持っている傾向が非常に高いのです。それは日本人の慎重な気質のせいでもあるでしょう。

だからこそ景気回復のために、金融庁はどうにかして株などを買わせたいのです。「投資で資金を増やさないと老後に困りますよ」と国民に伝えたのは、そのためでしょう。

金額は生々しいリアリティがあるもの。だから「2000万円足りない」といったネガティブなメッセージは、未来に対する大きな不安を抱かせます。

しかし、未来に不安を感じて「やみくもに倹約する」というのも、実は“無計画な行動”です。なぜなら、倹約しすぎると、生活の潤いも精神的な余裕も無くしてしまうからです。

「いまを楽しむこと」を自分から取り上げるなんて、もったいないですよね。