「億り人」は、好きなこと以外にはどケチ
では逆に、「お金を十分に持っている富裕層」はどのようなお金の使い方をしているのでしょうか。そこには、お金の使い方のヒント、さらには、お金の貯め方のヒントがあります。
元野村證券の経済コラムニスト、大江英樹さんの『となりの億り人 サラリーマンでも「資産1億円」』(朝日新書)というベストセラーをご存じでしょうか。
大江さんは、3万人以上の投資家の資産運用を担当してきた方で、富裕層のマインドがリアルに紹介されています。
タイトルからして私たちには関係なさそう、と思うかもしれませんが大変学びが多く、お勧めです。この本には「億り人」(1億円超えの資産を築いた人のこと)のエピソードが多く出てきますが、共通しているのは、次の姿勢です。
「好きなことには、積極的にお金を使うが、それ以外には1円たりとも使わない」
極端な表現なので、本書なりに言い換えてみましょう。
チャレンジゾーンのものには、コスパを追求する……お利口モード
ストレスゾーンでは、1円たりとも無駄にしない……どケチモード
衣類はユニクロ、車はヴィッツ、外食はチェーン店
大江さんは、富裕層のリアルは「衣類はユニクロ、自動車はトヨタヴィッツ、住居は普通のマンション、外食はせいぜいチェーン店」だと述べています。
「お金持ちならベンツやポルシェなどの高級車を乗り回しているんじゃないの?」という気もしますが、それはごく一部。富裕層の中でも、「高級車が好きな人」だけ。
そして、「高級車が好きな人」は、それ以外には「どケチモード」になります。それが彼らの成功哲学なのです。アーティストの全国公演を追いかける、いわゆる“推し活好きな人”も、ある意味成功哲学の実践者です。
同じアーティストの同じ内容のコンサートを、自腹で追いかけるわけですから、ファン以外の人から見れば“無駄”でしかありません。
しかし、その“推し活好きな人”にとって、生活を豊かにする過ごし方として、コンサートの“全国行脚”は重要なこと。お金の使い方のプロから見ると「まさに使いどころ」なわけです。
そのかわり、それ以外のことでは徹底してコスパを追求し、無駄を排除する。
これぞまさしく、お金の達人が実践する“理想の生活”なのです。