道路を「県有施設」とみなすロジック

県有施設にゲートを設けるために、山梨県は、2月15日に開会する山梨県議会に2000円を徴収するなどの施設設置管理条例案(名称、内容等不明)を提案する。

本会議、委員会の審議を経て、3月21日閉会日に条例案が可決されれば、入山規制が来夏から始まる。

ただ簡単には、条例案が可決されないかもしれない。

施設設置管理条例によって、「公の施設」(公立美術館やプールなど)への入場料を徴収するというかたちだが、富士山のケースはそこに何らかの施設を造るわけではないからだ。

単に、これまでの道路にゲートのみを設けて、「通行料」を徴収する仕組みである。

言うなれば、条例上は施設への「入場料」なのに、実際は何らかの施設ができるわけではない。道路を通過するだけだから、「通行料」と呼ぶほうが正しいことになる。

客観的に見れば、これまでの道路に入山規制のゲートが設置されるだけで、公の施設に入場するための施設設置管理条例の制定が本当に適正なのか、という疑問が生じてくる。

「公の施設」とは、地方自治法では、地方自治体が住民の福祉を増進する目的で、その利用に供される施設を指す。たとえば公営住宅、美術館、学校などの施設である。

当然、道路も含まれるが、自動車有料道路と違い、それまで無料で通行できていた道路が、歩行者である登山者に一定区間のみ有料となる根拠など示すことはできない。

だから、やむを得ず、道路を施設としてみなす条例で対応することになったのだ。

長崎知事は「ゲート維持のため、全体の安全のため」

今回の「通行料」は「富士山登山適正化指導員」配置や、登山道への噴石、落石に対応するシェルター設置などの安全対策に充てられるというが、約900m道路の「公の施設」とは無関係のように見える。

これに対して長崎知事は、会見で「地方自治法では、施設の維持管理などのために必要な経費を賄うために利用金を徴収できる規定がある。ソフト、ハードを合わせてゲートを維持するために必要なもの、全体の安全を確保するため」などと説明している。やはり非常にわかりにくい。