お金に好かれる人はどんなことを考えているのか。ファイナンシャルプランナーの立川健悟さんは「自分の価値観を大事にしている。だからセールには行かず、自分の欲しい時に欲しいものを購入している」という――。(第2回)

※本稿は、立川健悟『お金持ちは合理的』(すばる舎)の一部を再編集したものです。

セールの文字が書かれた看板
写真=iStock.com/shironosov
※写真はイメージです

なぜ「行列ができている店=おいしいお店」と思ってしまうのか

【事例】
買うつもりはなかったけれど、みんなが持っているのを見て、ついつい自分もほしくなって買ってしまった。誰しも一度はこんな経験があるのではないでしょうか。
ほかにも、「行列のできているお店のほうが、できていないお店よりも美味しいと思ってしまう」「スーパーに行って、同じ種類の商品を買う際、売れ残っている商品よりも、たくさん売れている商品のほうがいいと思う」、このような心理も同様です。「みんなが行っている(持っている)」という安心感に基づいて判断してしまうのです。

このように、まわりと同じ行動をとってしまうことを、行動経済学では「バンドワゴン効果」と呼んでいます。バンドワゴンとは、パレードの先頭を行く楽隊車のことで、パレードで楽隊車の後ろに行列が続く様子をイメージして名付けられたそうです。

お金持ちは騙されない

街でよく見かける「当店の人気No.1商品」「芥川賞受賞!」「累計1万個売れました!」「100万ダウンロード突破!」などの広告も、このバンドワゴン効果を見込んで行われています。

広告だけでなく、店内でもバンドワゴン効果は活用されています。たとえば飲食店であれば、あえてテーブル数を減らし、意図的に混雑させることがあります。店外まで行列を作らせることで、まわりから見たときに「このお店は流行っている」と思わせるためです。

新規出店から3カ月間は、あえて席数を減らしているという飲食店のオーナーもいるくらいですから、効果は大きいのでしょう。サクラを使って行列を長く見せることも、バンドワゴン効果の活用例の一つです。

このように街には、売り手の工夫によって意図していなかった買い物を促され、お金を使ってしまうきっかけがあふれています。一般の方の多くは、バンドワゴン効果に気付くことなく行動を促されているのです。

しかし、お金持ちは違います。お金持ちは、自発的なお金の使い方を軸としているため、知らない人に促されたからといって、ホイホイとお金を使うことはありません。