日本で韓国コスメが売れている。2022年には韓国からの化粧品の輸入額がフランスを上回って1位になった。なぜそれほど人気なのか。ジャーナリストの金敬哲さんは「韓国コスメは日本製品に比べて値段が安く、トレンドを取り入れる企画力も高い」という――。
韓国・ソウル 化粧品売り場(2017年6月ごろ)
写真=Alamy/アフロ
韓国・ソウル 化粧品売り場(2017年6月ごろ)

韓国の化粧品輸出総額は76億ドルに達し世界4位に

韓流コンテンツの世界進出が、韓国製品に「韓流マーケティング」という翼を与えている。映画『パラサイト 半地下の家族』に登場した「チャパゲティ」ラーメンは、日本のラーメンが掌握していた米国や欧州市場で韓国ラーメンの人気を牽引し、ドラマ「愛の不時着」にたびたび登場したフライドチキンチェーン「bb.q オリーブチキンカフェ」は日本を含め世界中で店舗数を拡大している。製品以外にもBTSのミュージックビデオのロケ地は海外観光客の聖地となるなど、コンテンツの人気が韓国経済に与える影響は大きい。

そうした中で特に勢いに乗っているのが化粧品産業だ。日本では2022年に化粧品輸入額で初めて韓国がフランスを抜き、1位に躍り出るほどの急成長を遂げている。その額は775億円に上る。

韓国で化粧品産業が本格的に発展し始めたのは1960年代のこと。歴史こそ長くないが、現在は4500余りのメーカーや3万近いブランドが乱立し、市場規模で世界8位につけるコスメ大国だ。輸出面からみても、日本を抜いて、フランス、米国、ドイツに次ぐ世界4位を占め、2022年の輸出総額は76億ドルに達する(食品医薬品安全処調べ)。