日本市場での嚆矢は2008年の「BBクリーム」ヒット
韓国化粧品の海外進出は2004年、「MISSHA(ミシャ)」がオーストラリアに店舗をオープンしたことから始まった。MISSHAは2000年にオンラインショップからスタートした後発メーカーだ。「製造原価からみれば化粧品は高価になる理由がない」というポリシーに基づいて低価格商品を売り出し、ブームを巻き起こす。その後、韓国の化粧品市場は低価格全盛時代に突入。リーズナブルかつ高いクオリティを武器に海外に輸出され始めた。そして韓流ブームがこれを後押しする。
2000年代初頭、韓流ドラマがアジアを中心に人気を集めると、「韓国女優が使っている化粧品」のイメージを背景に中国などで大きな反響を得始める。日本で韓国産化粧品を認識させるきっかけとなったBBクリームも、もともとは韓国で2004年に国民的ヒットとなったドラマ「火の鳥」のヒロインである故イ・ウンジュ氏が使用したことで人気に火がついた。
皮膚の手術跡を保護するためにドイツで開発された「欠点カバー用バーム」がもとになっており、すっぴん風に見せながらしっかりと欠点をカバーし、スキンケアや日焼け止め機能も兼ねるオールインワンという使い勝手の良さでヒット。その手軽な使用感と効果に感心した美容家のIKKOさんが日本で紹介し、2008年に「日経トレンディ」(日経BP)が選ぶ「今年のヒット商品」で7位にランクインした。
わずか5年で日本の輸入額が4倍になった
そして現在、第4次韓流ブームが巻き起こっている日本では再び韓国コスメブームが到来している。韓国の人気美容系YouTuberミン・セロム氏がプロデュースするブランド「rom&nd(ロムアンド)」はその好例だ。
2016年に始まったブランドは2019年に日本上陸。発色の良いリップティントやアイシャドウ等が人気を博し、コスメ好きが注目する各メディアの「ベストコスメ」企画常連となっている。2023年3月にはローソン限定の新ブランド「&nd by rom&nd(アンドバイロムアンド)」を展開し、3日間で在庫30万個が完売して話題となった。
KOTRA(大韓貿易投資振興公社)の関係者は、「韓国産化粧品が日本の輸入化粧品市場で占める割合は、2017年まではフランスはもちろん米国や中国にも及ばなかったが、韓国の配信コンテンツが日本で人気を集めることで、韓国産化粧品輸入額が増加し始めたとみられる」と説明する。