日本の美容系YouTube動画についたコメントを分析

業界団体の韓国化粧品産業研究院では2020年7月〜2023年6月の約3年で日本の美容系YouTube動画につけられた約30万個のコメントを分析し、日本における韓国コスメのトレンドを算出している。それによると、2022年下半期〜2023年上半期までの「K-beautyトレンド」1位は「ウォニョン・メイク」だった。K-POPガールズグループ・IVEのメンバーで、世界中の女の子たちの憧れの顔として浮上しているウォニョンのメイクを「真似したい」などのコメントが一番多かったという。

同研究院は、「20年前の韓流第1次ブームでは韓国産化粧品が一部の中年女性の間で人気があったが、最近は韓流アイドルの人気に支えられ、MZ世代(1980年代〜2000年代生まれ)を中心に、再び韓国化粧品の人気が高まっている」と分析した。(『グローバル・コスメ・レポート 日本編 2023年 vol2』より)

潜在需要を読み取ってトレンドをつくるのが得意な韓国企業

韓国化粧品が日本の若い女性に人気を集めているもう一つの理由として、各社の「企画力」が挙げられる。化粧品専門誌「CosMorning」のホ・ガンウ記者は、韓国化粧品企業の強みを次のように説明する。

「製品そのものの品質は日本のほうがまだ一枚上手だが、日本企業は市場の変化や消費者のニーズのキャッチアップが遅い面がある。一方、韓国企業は市場を読み取り、新しい流行を先導する能力に優れている。たとえば、従来の製品を少容量で低価格にした“ミニコスメ”は、韓国だけでなく世界市場で10代を中心に人気が高い。好みがコロコロ変わる若年層の消費性向にあっているからだ。

また、韓国で生まれて世界的ヒットになったBBクリームやクッションファンデーション、シートマスクは、忙しい日常で煩わしい過程を省略できるように複数の機能を盛り込んだ革新性が受けた製品だ。こうしたトレンドを生み出す力が日本の若い消費者に受け入れられているようだ」

クッションファンデーション
写真=iStock.com/moonHo Joe
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これまで中国市場に力を入れてきた韓国の化粧品業界では、本格的な日本進出のために戦略を模索し始めている。AMOREPACIFIC(アモーレパシフィック)やLG生健などの大手ブランドは、日本の消費者の好みに合わせて製品ラインを補強したり販売チャンネルを補強したりするなど、日本市場攻略のための準備に余念がない。