たとえ「MUJIっぽくない」と反論されても…

だから、商品につけるタグの説明書きでも、マーケティングでも、商品を商品以上には決してうたわないことに努め、ずっと正直にやってきました。一般的にマーケティングとは、商品を商品以上にどううたいあげるかが仕事ですけど、それを一切やりません。これこそ当社の正直であり、損得よりも善悪を重んじる文化です。

もう一つは、先ほどふれた「実行第一」です。やってみるっていうことです。当社が生まれたセゾングループは堤清二というすごい親分がいた会社なので、親分を納得させるというか、承認をもらえるかどうかが仕事になってしまった。だから、その風潮を反面教師として、「実行第一」を大切にしています。

第二創業では「そこまでやったらMUJIっぽくない」とかいろいろ細かい反論は出ても、事後に検証はきちんとしますが、まずは実行してみることを徹底しています。「これはやっぱり違うよね」といったこともありますが、実行第一で進めています。

まずは「MUJIらしさを守る」ことをやめる

というのも、いつの間にか「無印良品」というブランドを守らなければいけない思いを背負ってしまい、一生懸命にMUJIらしさを考えて頑張っていますという。しかし、そのMUJIらしさって何かというと、みんな過去なんですね。時代は変わっているのに、過去に囚われて発展がなくなってしまった。

店こそお客さまを知り、地域に根差しているはずなのに、「これやっていいんですか?」と現場が実行を躊躇する風潮が、チェーンオペレーションのカルチャーには抜きがたくあります。しかし、良心的で正直なマインド、そして「役に立つ」という当社の大戦略から外れないかぎりは、倉本長治さんのおっしゃる「実行第一」なのです。

「良品計画」の金井政明会長
撮影=よねくらりょう
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