家族が逮捕されることで、生活が一変してしまう人たちがいる。犯罪加害者の家族を支援するNPO法人の代表を務める阿部恭子さんは「私が支援した人のなかには、夫が詐欺で逮捕されたことで裕福な生活が一変してしまった人がいた。経済的支援も受けられないため、生活が立ちいかなくなる場合が多い」という――。
両手で顔を覆ってうつむく女性
写真=iStock.com/Kayoko Hayashi
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犯罪で稼いだお金で裕福に暮らす人々

2005年、耐震強度偽装問題で連日ワイドショーの主役となっていた姉歯元建築士の妻(当時49歳)は翌年、マンションから飛び降り自殺を図っている。当時、姉歯氏の派手な暮らしぶりにも批判が集まり、バッシングは家族の生活にまで多大な影響を与えたであろうことは容易に想像できる。

筆者はこうした「加害者家族」を対象とした支援活動を2008年から始め、マスコミが注目する重大事件を含め、これまで2500件以上の様々な状況にある加害者家族から相談を受けてきた。

犯罪者の家族といえば、貧困家庭を想像するかもしれないが、違法な手段によって贅沢な暮らしをしていた人々も存在している。ここでは、筆者が出会ってきた加害者家族の中で、夫が詐欺事件を起こしたことによって裕福な暮らしから一気に生活困窮に陥った「セレブ妻」たちの転落の人生に迫る。

なお、プライバシー保護の観点から登場人物の名前はすべて仮名とし、個人が特定されないようエピソードには若干の修正を加えている。