いじめや犯罪の加害者になってしまう子どもたちには、どのような共通点があるのか。犯罪加害者の家族を支援するNPO法人の代表を務める阿部恭子さんは「いままで3000件以上の相談を受けてきたが、子どもが事件を起こした家庭は、子どもを甘やかしたというより厳しくしつけている家庭の方が多い」という――。
公園の階段に座り、泣いている女の子
写真=iStock.com/Hakase_
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突然、「いじめ加害者」になったわが子

朝、家族を送り出す時、「気を付けてね」と声をかけることがあるだろう。このとき、想像するのは、家族が事故に遭ったり、犯罪に巻き込まれたりすることであって、事故や事件を「起こす側」になることは想像しにくいのではないだろうか。

筆者は2008年、日本で初めて「加害者家族」を対象とした支援活動を始めたのだが、加害者側の悩みを聞くというだけで、まるで人ではないかのような拒否反応を示されることもあった。

しかし、加害者とは犯罪者に限ったことではない。昨今、SNSに投稿した映像が炎上したり、過去に黙認されていた行為が明るみに出て、スターから加害者に転落する人々も存在している。

実のところ、加害者になることとは、誰にでも起こりうるリスクなのである。本稿では、身近な問題として、子どもが「加害者」になってしまったケースを紹介したい。近年、いじめを苦に生徒が自死した事件がメディアに大きく取り上げられ、SNSで加害児童への批判が集中し、一家が転居を余儀なくされるようなケースも存在している。身近な問題であるだけに、いじめに対する世間の反応は敏感である。

「うちは子どもをきちんとしつけているから大丈夫」と考える人も少ないくないかもしれないが、「きちんとしたしつけ」にこそ、落とし穴があるかもしれない。ある日突然、自慢の子どもが加害者と呼ばれてしまったとしたら……。

事例では、プライバシー保護の観点から登場人物の名前はすべて仮名とし、個人が特定されないようエピソードには若干の修正を加えている。