学歴が高い男性ほど婚姻率が高い

まず、学歴と結婚の関係を見ていきたいと思います。

学歴と結婚の関係を考える際、「どの時点での婚姻状況を見るのか」という点が重要になります。というのも、学校を卒業する時点が早い人ほど、早めに結婚してしまうからです。高卒のほうが大卒よりも早くに働きだすため、結婚のタイミングも早くなるというわけです。このため、ほとんどの人が学校を卒業している20代後半以降の学歴と結婚の関係を見るのが適切でしょう。

この点を考慮した研究結果を見ると、高学歴層(大卒以上)のほうが、婚姻率が高くなると指摘しています(*2)。また、独身研究家の荒川和久氏は、2020年の国勢調査を用いて、30歳以降になると大卒以上の男性の方が高卒以下の男性よりも未婚率が低く、結婚しやすいと指摘しています(*3)

これらのことから、今でも高学歴男性ほど結婚しやすいと言えるでしょう。

収入が高い男性ほど婚姻率が高い

次に収入と結婚の関係を見ていきましょう。

収入と結婚の関係はシンプルです。高収入の男性ほど、結婚相手として魅力的に見えます。このため、高収入の男性ほど婚姻率が高くなると予想されます。

実際のデータを見ると、この関係を明確に確認できます。図表1は男性の年収別の婚姻率を示しています。図中では25~29歳、30~34歳、35~39歳のそれぞれの推移を見ていますが、いずれの場合も明らかに年収の上昇とともに、婚姻率が上がっています。

【図表】男性の年収別の婚姻率

また、図表2では関連する指標として、男性の雇用形態別の婚姻率を示しています。この図の結果もシンプルで、正社員ほど、年齢が上がるとともに婚姻率が順調に上昇します。これに対して非正社員の場合、年齢とともに婚姻率が上がるものの、その上昇幅は正社員の半分以下です。

【図表】男性の雇用形態別の婚姻率

このように、正社員と非正社員では婚姻率に大きな差が生じてくるわけですが、その大きな原因は収入です。正社員の場合、年齢(勤続年数)とともに収入が増加する傾向が強いですが、非正社員の場合、年齢(勤続年数)が上がっても収入はほぼ増加しません。これによって正規・非正規間の収入格差が増大し、結婚にも大きな影響を及ぼすと考えられます。

ちなみに、学術的な研究でも、収入が高いほど婚姻率が高くなると指摘されていますし(*4)、非正社員で働く場合ほど、婚姻率が低下すると指摘されています(*5)。また、学校を卒業した後の初めての仕事が非正社員の場合、その後に結婚しづらくなるとも指摘されており、影響が長期にわたることがわかっています(*6)

これらの結果をまとめると、今でも高収入男性ほど結婚しやすいと言えるでしょう。