「クリスマスに恋人がいない」は問題なのか

11月後半から婚活パーティの開催案内が続々と届くようになった。クリスマス用のキャンドルや飾りを作ろうという体験もの、ホテルでの食事付き婚活パーティ、夜景が見える散歩など、「冬」と「恋人」を結びつけて打ち出している。過去に参加した婚活パーティの事務局からも3回、パーティのお誘いで電話がかかってきた。「女性様、無料なのですが……」と言う。

12月に入ると「まだ間に合う!Xmasまでに恋人を作ろう」というメールが2日に1回は届く。おそらく世の中を見渡せば、「恋人がいる人」のほうが少ないはずなのに、恋人がいない自分のほうが少数派であるという錯覚に陥る。クリスマスに恋人がいないと大変なことになるという気持ちにさせられる。

その煽りの罠にはまって、12月上旬の土曜夜、婚活パーティに参加することにした。

写真=iStock.com/Svetlana-Cherruty
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「男性は42~51歳、年収600万円以上」が条件

参加要件は、男性は42~51歳、社交的で気を遣え、年収600万円以上か公務員か大卒の人という設定。女性は40~49歳で恋愛に前向きな人を対象としている。参加費用は飲み放題と食事付きで男性が8200円、女性が4800円。 

広いオープンテラスがある、開放的な雰囲気のお店での開催だった。テラスの中央で好きな飲み物をオーダーして受け取り、2階建てのプレハブ小屋のような建物を階段であがった先が会場である。窓の代わりに透明なビニールがつるされていて、室内はテントの中にいるような雰囲気だ。外を見ると1階のテラスには、ほんもののこぢんまりしたテントがいくつかあって、中にいるカップルが楽しそうに会話しているのが見えた。

「本日の参加は男性が6名、女性も6名になります。テーブルごとに自己紹介から始めてください」

店の入り口に立って身分証を確認していたパーティ事務局の女性が説明する。

会場には8人がけ程度のテーブルが二つあり、それぞれ女性が窓側に3人ずつ、その正面に男性が3人ずつ座るように促された。私は3人いる女性の真ん中に座る。私からみて左側の男性から自己紹介がスタート。続いて、正面にいるタハラさんと名乗る男性が話し始めたが、なぜか彼は私のほうだけ見ない。

なぜだろうと考えていたら、思い当たった。10月下旬開催の婚活パーティで出会ったプログラマーさんなのだ(第6回参照)。タハラさんは私に「いいね」をくれたが、私はあの日、誰にもマッチング希望を出さなかった。タハラさんは私の両隣の女性には視線を送るのに、明らかに正面にいる私だけを避けている。仕方ない。この気まずさは自分にも原因があるのだ。