「旅をしながら人生のパートナーを見つけたい」

焦りはなかったのだろうか? すると、「ありましたよー」とまた〝いい顔〟で笑う。

「私は何をやっているんだろうって。ただ、心のどこかで39歳、40歳、41歳くらいまでには結婚できると思っていたんですよね」

ところが結婚できない。しかもケイコさんは42歳になった2019年、子宮筋腫の手術を受け、術後に体調を大きく崩してしまった。2年間、実家に引きこもる生活だったという。

「その頃に今のインターネットでできる仕事を始めたのですが、当初はぜんぜんお金になりませんでした。実家を出たいのに経済的に自立できないし、体も本調子でない。けれど手術を機に死を意識し、これからの人生はやりたいことをしようという気持ちが芽生えていたんですよね。30代半ばに北海道をひとり旅したことがあって、すごく楽しかったから、旅をしながら人生のパートナーを見つけたいと思ったんです」

やがて仕事は少しずつ、月10~15万円程度の収益を生み出せるようになっていった。そして2021年に家を出る。月会費4万5000円程度で全国の空室が利用できるサブスクサービスを利用しながら、ケイコさんは今も旅を続けている。

写真=iStock.com/littlewormy
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それでも結婚したいのはなぜなのか

「仕事をして、空いた時間にその街を探索したり山に登ったり。無理をしない、自分がやりたいことだけをする生活にシフトしたんです。そうしたら周りの人と比べなくなって、旅そのものを楽しむ自分がいました。客観的には何もうまくいっていないですが、将来の不安や焦りもないんです。ところがね、つい先日、乳がん検診に引っかかったんですよ。最終的にはシロでしたが、精密検査の結果が出るまでの間、やっぱり結婚したい、今は死ねないと、旅を始めた当初の目的を思い出しました。だから東京で婚活を始めたんです。この間、ひろこさんに会った時は、4回目のパーティ参加でした」

これまでのパーティでマッチングし、2人で出かけたことも数度あったが、交際には至らなかった。でもまだ諦めずに探したいという。子どもを望むことが難しい年齢になったが、それでも結婚したいのはなぜなのか。

ケイコさんは「最愛の人と添い遂げる夢があるんです」と即答する。

「2人で何かを成し遂げる、それはつまり一緒に人生を歩いていくということを経験してみたい。子どもだって必ずしも血のつながりがある関係だけではないですものね」