「世界一幸せな国」は一面でしかない

おしゃれな北欧デザインのインテリアや雑貨、アンデルセン童話に出てくるようなメルヘンチックな街並み、福祉が充実している世界トップクラスの「幸福度の高い国」。心地良さを意味するデンマーク語の「ヒュッゲ」という言葉を聞いたことがある人もいるかもしれない。

いずれにしても、北欧のデンマークといえば、豊かで幸せそうなフワフワしたイメージがあるのではないだろうか。こういったイメージは、どれも間違いではないのだが、それはデンマークの一面にすぎない。

ここでビジネスに関するデンマークのいくつかのランキングを見てみよう。

国際競争力 1位(2年連続・2022〜2023年)
デジタル競争力 1位(2022年)
今後5年間のビジネス環境 3位(2023年)

いかがだろう。ビジネスシーンにおいても、なかなかの存在感ではないだろうか。

デンマークで世界的に知られる企業は以下のとおりである。

玩具レゴブロックで知られるレゴ社(LEGO)、日本ではサントリーが販売代理店となっているビールメーカーのカールスバーグ社(Carlsberg)、風力発電機の設計・製造・販売で世界をリードするベスタス社(Vestas)、コンテナ船を強みとする世界一の海運企業マースク社(Mærsk)、グローバルな製薬会社のノボノルディスク社(Novo Nordisk)。

千葉県よりも人口が少ない国ながら、グローバルな舞台で活躍するデンマーク発の企業は意外に多い。

コペンハーゲン国際空港のレゴショップ
写真=iStock.com/olli0815
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世界ナンバーワンの圧倒的な「ビジネス効率性」

2022年、デンマークは国際競争力ランキングで世界ナンバーワンに選ばれ、世界から注目を浴びた。さらに、2023年も2年連続してナンバーワンに選ばれている。

なお、このランキングは、IMD(国際経営開発研究所)が行なった調査で、日本は2022年が34位、2023年は35位だった。

なぜデンマークは国際競争力が高いのか。

短期的に見ると、デンマークが急速にランキングを上げてナンバーワンに躍り出た理由は、経済状況が改善したからである。だが、長期的かつ総合的に見ると、デンマークの圧倒的な強みは「ビジネス効率性」にある。

国際競争力ランキングは「経済状況」「政府の効率性」「ビジネス効率性」「インフラ」という4つのカテゴリの総合評価で決まる。デンマークは「ビジネス効率性」において、2020年から2023年の4年間にかけて首位を走ってきた。

【デンマーク】(2023年)
経済状況15位
政府の効率性 5位
★ビジネス効率性 1位(4年連続)
インフラ 2位
【日本】(2023年)
経済状況26位
政府の効率性42位
ビジネス効率性47位
インフラ23位

ちなみに、日本の国際競争力の足を引っ張っているカテゴリは、まさにこの「ビジネス効率性」である。どうやら、デンマークには日本にとって見逃せないビジネスのヒントがありそうだ。