生産性を高める人間関係とはどのようなものか。デンマーク文化研究家の針貝有佳さんは「デンマークの組織は、『社会性』というオイルを兼ね備えた各メンバーが、個性と関心に合った『適材適所』の役割を担い、全力でフル稼働している。だから自分もムリせず、他人にもムリさせない関係が成り立ち、いいエネルギーの循環と最高のパフォーマンスが生まれる」という――。
※本稿は、針貝有佳『デンマーク人はなぜ4時に帰っても成果を出せるのか』(PHP研究所)の一部を再編集したものです。
人間関係ができれば、「仕事完了」も同然
仕事の生産性を高めるカギとなるもの。それは、上司・部下・取引先・顧客との「円滑なコミュニケーション」である。
もっとわかりやすく言えば「人間関係」である。
お互いの時間を尊重してタイパを高めるために、上司が部下をファシリテートするために、社員が自分の意見を言いやすい職場環境をつくるために、すべてにおいてカギを握っているファクター。それが「人間関係」である。
信頼に基づいて、お互いを尊重する「人間関係」があれば、自然にお互いのタイパに配慮するようになるし、適切な形で部下をファシリテートできるようになる。また、社員が安心して自分の意見を伝え合えるようになる。誠実で建設的なコミュニケーションが可能になるのだ。
逆に、「人間関係」ができていないと、疑心暗鬼になって、お互いの探り合いをすることになってしまう。不信に基づいた邪推は、負のスパイラルを生み出す。一旦そんな関係になってしまうと、何をしても、誤解が生じ、話が噛み合わず、仕事を効率良く進められなくなる。お互いに嫌な感情に呑み込まれてしまうと、ますます仕事の効率は下がる一方である。
結局のところ、仕事の生産性のカギを握っているのは「人間関係」なのである。
デンマークのメーカーで海外のセールスを担当するデニスも、人間関係がすべてであると指摘する。
「カギとなる人物と、個人的な良い関係を築くことが一番大事。それができれば、仕事はほぼ完了したようなもの」