「凡事徹底」がチャンスを引き寄せる
ホテルのバックヤードで、トイレの掃除をしていた高齢の女性スタッフさんに「いつも、きれいにしてくださって、ありがとうございます」とごあいさつして以来、言葉を交わすようになっていたのですが、じつはなかなかのキャリアの持ち主で、その後、その人のプッシュで仕事をいただいたこともあります。
そんな体験もあって、私は、つくづく「小さな感謝の積み重ねを大切にするべきだ」と思っています。
「凡事徹底」という言葉がありますが、なんでもないようなあたりまえのことを徹底的に行なうことを意味し、私は感謝するというのはまさにそうあるべきだと思っています。
そもそも感謝とは、自分を振り返り、いかにたくさんの人の存在のうえに成り立っているかを自覚することから生まれる“あたりまえの感情”であることは、これまで書いてきたとおりです。
そのあたりまえのことを、日々徹底して、言葉にしたり、行動にしたりして示していくことが大切なのではないでしょうか。
見せかけの「ありがとう」は必ず見透かされる
残念なのは、見せかけの感謝の言葉を口にすることです。心のこもっていない「ありがとう」は誰の心にも響きません。
たとえば、上司に対しては忠実ぶりを発揮するくせに部下に対しては横柄な人、あるいは社会的地位のある人にはひたすらおもねるくせに、そうでない人は歯牙にもかけない人の「ありがとう」をあなたは信じることができますか?
信じられないと思います。表情、態度、話しぶり……見せかけの「ありがとう」は必ず見透かされます。
感謝の気持ちの根底にあるのは、相手への敬意、リスペクトする心です。上下関係にとらわれず、性別や年齢に関係なく接すること、その姿勢が大切です。
人生を好転させたかったら、なんでもないような小さな感謝を凡事徹底し、積み重ねていくべきなのです。
それを実践している人のまわりには“信頼の輪”が広がっていきます。
そして、その信頼の輪はさまざまなチャンスを引き寄せてくれるでしょう。