※本稿は、宍野史和『運をつかむ心のほぐし方』(プレジデント社)の一部を再編集したものです。
ビジネスで大切なのは、お偉いさんの部下への対応
「将を射んと欲すれば先ず馬を射よ」という言葉を知っているでしょうか。
敵の大将を射ようとするならば、まずはその大将が乗っている馬を射る。目の前にある大きな目標を達するためには、周辺の事柄から一つひとつ達成していくことが近道になるという意味です。
これはまさにビジネスの場にもそのまま言えることです。あなたがもし、あるお偉いさんに取り入りたいと思ったとき、どんな行動をするでしょうか。おそらく何かあるごとに、そのお偉いさんに礼状を書いたり、お土産を持って行ったり、挨拶をするために顔を出したりすると思うのですが、それと同等に、いやそれ以上に大切なのは、後ろに立っているそのお偉いさんの部下への対応です。
今後、その相手と付き合っていく場合、実際に仕事をするのはお偉いさんではなく部下のほうです。だから、そこをおろそかにしてはいけない。
同じ礼状を書き、同じお土産を持って行き、必ず挨拶をする。そこに差を設けるのは悪手でしかありません。私は衆議院議員の秘書として長らく働いていたので、よくわかるのです。
衆議院議員の秘書の視点から見える部下の役割
つまり、視点を変えてみれば、あなたの部下も、実はあなたよりも重要な役割を果たしているということです。部下は召使いではありません。もし、仕事がある意味「戦い」であるとするならば、上司と部下の関係は大将と軍曹の関係であり、戦友なわけです。
「人は城、人は石垣、人は堀、情けは味方、仇は敵なり」
武田信玄はいくら立派な城を築いても、人がいなければ役に立たないと言いました。人こそ財産。人を使い捨てにしてはいけません。まずは、自分が部下に対して誠実であるか。部下からの信頼を得たいのならば、まずは自分が信頼をしなければならない。自分が誠実であれば、信頼は必ず返ってくるはずです。