「任せてやらねば人は育たず、信頼せねば人は実らず」

人間にはそれぞれの美学があります。本当に性能の良いマシーンは、見た目もなぜだか美しい。その美しさというのはとても重要で、形式や作法はやはり必要です。そして、人間はそれを美しいと感じる。そういった部分で、やはり人間は感性が備わった、美学を持った生き物なんだなと思うわけです。

宍野史和『運をつかむ心のほぐし方』(プレジデント社)
宍野史和『運をつかむ心のほぐし方』(プレジデント社)

けれど、その先にきちっとした本質が見つけられていないと、それはただの姿であって美しさではありません。「綺麗」かもしれませんが、「美しさ」ではない。形式や作法がなっていることに越したことはありませんが、どちらを選ぶかと言われれば、「形式」を捨ててでも、本質を選ぶべきだと思うのです。

「やってみせ、言って聞かせて、させてみせ、ほめてやらねば、人は動かじ。話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず」山本五十六が残したこの言葉こそ、まさに上司の本質です。

私たち現代人の悩みは、すでに先人たちが解決してくれているのです。『古事記』『日本書紀』『大鏡』『平家物語』『増鏡』。山ほど宝物があるのに、その宝に埋もれながら「宝がない」と嘆くのはいかがなものでしょうか。

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