万病のもと・糖尿病になるリスクが把握できる

【尿糖――高すぎたら糖尿病予備軍かも】

「糖尿病」は、その名のとおり、一症状として尿に糖が含まれる病気です。血中の糖濃度が高くなりすぎたために糖を処理し切れず、尿に漏れ出てしまうのです。「糖尿病の人のおしっこは甘い匂いがする」と聞いたことがあるかもしれませんが、重度の糖尿病だと、たしかに、代謝物のためにほのかに甘く香ることがあります。とはいえ、尿糖で「陽性」と出たら血糖値の検査をしてください。

一方、糖尿病の薬には、SGLT2といって尿中に糖を排泄して血糖を改善するものもあります。この薬は慢性腎臓病にも効果が認められています。ただし、この場合は尿糖がたいへん高くなるために、細菌感染にかかるリスクが高まります。

からだは変化するものですから、できれば日々、向き合い、微細な変化もとらえていきたいものです。といっても、病院で行う健康診断となると「年に一度」が普通で、それすらも億劫だと思っている人は多いと思います。

血液は病院でないと検査できませんが、尿は、市販の「尿検査テープ(試験紙)」で多くの項目を検査できます。尿検査テープは、街なかのドラッグストアやネットショップでも入手可能なものがほとんどです。「自宅でマメに尿検査」というのも、健康長寿を目指すために、習慣の1つとしてみてはいかがでしょうか。

尿のどこに気をつければいいのか

尿に関心が向いてくると、毎日の排尿時に気になることが出てくるかもしれません。

尿の「色」や「泡立ち方」「にごり」「臭い」――尿はからだの状況を映し出す鏡とはいえ、小さな変化に神経質になりすぎて、気にしなくてもいいことまで気になっては精神衛生上、よくありません。

いったい、どんなときに、どれくらい気にしたほうがいいのか、ここでまとめておきましょう。

3つのガラス容器のイメージ
写真=iStock.com/someone25
※写真はイメージです
【尿の「色」――濃いおしっこは問題なし、血尿はすぐに病院へ】

尿は本来、透明の淡い黄色ですが、主に尿の水分濃度によって、色の濃さが変わります。前にも説明したように、バソプレシンによって夜間の尿は水分濃度が低くなっていますから、朝一番の尿は、色が濃くなります。日中の尿も、水の摂取量が少なければ比較的濃くなります。

ですから、単に「濃い尿が出た」というのは、多少、水分が足りていないと考えられるくらいで、気にする必要はありません。

尿の色で気をつけたいのは、やはり血尿です。

血尿は「真っ赤な尿」とは限らない

血尿は、鮮血のような赤やピンクっぽい色をしている場合もあれば、茶色っぽい色をしている場合もあります。茶色っぽい血尿でも、紅茶のように赤みがかった色ですから、単に濃い尿の色とは明らかに違うと気づけるはずです。