尿の白血球で分かる感染症、炎症のリスク

膀胱炎や尿路結石の場合は、すでに残尿感や頻尿、排尿痛、発熱などの自覚症状も出ているはずです。嚢胞は、それ自体は病気というわけではありませんが、そこに悪い菌が繁殖したり、がんができたりすることもあるため、経過観察が必要です。

いずれにせよ尿潜血で陽性と出た場合、遠心分離機を使う「尿沈渣にょうちんさ検査」で、実際に尿に赤血球が見られるか詳しく調べます。肉眼ではわからないのに、顕微鏡で血尿が見られる場合でも、膀胱がん、尿路結石、腎炎などが見つかることがありますので、生活習慣などのリスクに応じた精密検査を行います。

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【尿白血球――尿路感染症があると「陽性」になる】

白血球は、からだに侵入する外敵から自分を守る免疫に関係する細胞です。尿に白血球が見られると膿尿のうにょうといいます。「うみ」(膿)が尿に出ているということですから、尿白血球で「陽性」と出たら、何らかの尿路感染症にかかっていると考えられます。また結石やがんによる「炎症」により膿尿となることもあります。

尿路感染症では、通常痛みや排尿時の不快感、発熱が見られますが、残尿が多い場合の膿尿はあまり自覚症状がないことがあります。また頻尿で、膿尿もあるときには膀胱がんや膀胱結石の可能性があります。

沈黙の臓器の異常を検知する

【尿タンパク――出続けたら腎臓病の疑い】

腎臓は血液をろ過し、尿をつくりますが、そこでタンパクはこしとられず、血液に残ります。つまり本来、タンパクが尿に出るというのはありえないことであり、出たとしたら腎臓のろ過機能に問題が起こっているということです。血液をろ過するフルイの目が粗くなっているか、壊れてしまっていると考えられます。この場合も「尿沈渣検査」で、さらに詳しく調べることになります。

尿タンパクで「陽性」と出たら、疑われるのは、腎盂腎炎(腎臓内の原尿の「一時貯蔵タンク」である腎盂の炎症)、糸球体腎炎(腎臓内の血液の「ろ過装置」である糸球体の炎症)、ネフローゼ症候群(尿にタンパクが出てしまうために血液がタンパク不足になる病気)です。膀胱炎なども考えられます。

これらの病気は、継続的に尿タンパクが陽性と出た場合に、疑うべきものです。例外的に、激しい運動の直後や過労があるとき、高熱が出たとき、女性の場合は生理前後に、一時的に陽性になることもあります。また、子どもや20代の若い世代だと、健康であっても、腎臓の位置によって尿タンパクが出やすい場合もあります。