目的のある運動以外にもNEATを有効活用しよう

座っている時間が長いほど短命であるといった研究は、世界中で行われていますが、『サイエンス』に掲載された興味深い論文があるので紹介しましょう。

人間は目的のある運動以外にも、日常生活に関連する姿勢や動きの変化によってエネルギーを消費します。これをNEAT(非運動活動性熱発生)といいます。簡単にいえば、運動ではない日常生活の活動によるエネルギー消費です。

肥満におけるNEATの役割を調べるために、やせた人10人と、軽度肥満な人10人を対象にして、10日間、両群の人たちの0.5秒ごとの体の姿勢と動きを測定しました。

肥満の人は、やせた人より、1日平均2時間長く座っていました。しかし、肥満の人が体重を減らしても、やせた人が体重を増やしても、姿勢の割り当てには変化がないことがわかりました。これは生物学的に決定されていると思われます。

しかし、肥満の人がやせている人のNEATを強化した行動を取り入れた場合は、1日あたり350キロカロリー消費する可能性があることがわかりました。

つまり、肥満の人がやせた人と同じくらい立ったり、歩き回ったりすると、消費カロリーが大幅に増える可能性が明らかになったということです。

テレワークでエネルギー消費量は400キロカロリー低下

みなさんは普段から、体を動かすことを心がけているでしょうか。まとまった運動はもちろん大事ですが、それ以上に24時間の活動量をいかに増やすかが、中年太りの改善にはとても重要です。

ところが、まだ記憶に新しい新型コロナウイルス感染症(以下、コロナ)の大流行は、逆に24時間の活動量を減らすことになってしまいました。

コロナ禍に太ったという人がたくさんいて、「コロナ太り」などと呼ばれていますが、コロナ禍では多くの企業が通勤からテレワーク(在宅勤務)にシフトしました。その結果、会社員の1日の活動量が激減してしまったのです。

具体的なデータもあります。デスクワーク中心の仕事をしている30代の男性の場合、1日の総エネルギー消費量は2800キロカロリーぐらいあったのに対し、テレワークになると2400キロカロリーまでに低下するという研究報告があります。

仕事がデスクワークであっても、通勤のために歩いたり、職場のちょっとした移動など、体を動かす機会はテレワークの人たちよりも多いのです。それが、400キロカロリーもの差になっています。

やはり、日常生活の中のちょっとした動きの積み重ねは、意外にカロリー消費に役立っているのです。