コロナによる運動量の低下=筋力低下に注意

高齢者の場合はもっと深刻で、若い人よりも感染による重症化リスクが高いため、外出を極端に控えるようになりました。

それによって筋力低下が進み、今までのように歩けなくなる人が増えたともいわれています。もともと運動の機会が少ない高齢者にとって、さらに活動量が減ることは、筋肉量の減少を招きやすいのです。

コロナの法的位置づけが2類から5類になってから、テレワークから再び通勤のスタイルに戻す企業も増えていますが、今後もコロナのような感染症が流行することは十分考えられます。そんなときには、日常生活の活動量を減らさないような工夫が必要ではないかと思っています。

やせるためには筋トレより有酸素運動のほうが大切

日常生活での活動量を意識的に増やしていくことによって、1日の総エネルギー消費量が増えれば、少しずつ体重が増えていく中年太りをストップさせることができる可能性があります。

ただ、それだけではエネルギー消費量としては少ないので、これ以上の体重増を防ぐことはできるかもしれませんが、体重を減らしていって中年太りを改善するには十分ではありません。

ということで、いよいよ「運動」が必要になってきます。運動というと、ジムへ行って筋トレするようなイメージがありますが、やせるためには筋トレよりも有酸素運動のほうが重要です。

本書(『科学がつきとめた 中年太りのすごい解消法』)では両方やることをすすめてはいますが、今まであまり運動してこなかった人であれば、優先順位としては有酸素運動から始めてほしいと思います。

そして、有酸素運動が習慣化できたら、筋トレも始めるとよいでしょう。といっても、やせることが目的であれば、きつい筋トレはやらなくても大丈夫です。

スクワットはみなさん、ご存じだと思います。自分の体重を負荷にして、下肢の筋肉を鍛える筋トレで、道具なしでできるので、本書でもすすめています。

ラップトップを見ながら運動する親子
写真=iStock.com/petesphotography
※写真はイメージです

マシンを使って行うような高い強度の筋トレは必要ありませんが、スクワットのような中等度の筋トレはやったほうが、中年太りの改善のために得なことが多いと思います。

有酸素運動だけでも筋肉の質の向上はみられますが、筋トレをすると、筋肉の質の向上とともに確実に筋細胞が大きくなって、筋肉量が増えます。それによって、わずかであっても基礎代謝も上がっていくので、筋トレをしたほうが、将来的に同じ運動をしても消費カロリー量が大きくなる可能性があります。

ですから、運動をがんばれる人はスクワットなどの筋トレもやるとよいと思います。

ただ、有酸素運動も筋トレも継続することが大事です。継続させるためには、日常生活のルーティーンにするとよいと思います。「この時間は運動する」と決めたら、やらないと気持ちが悪いと感じるくらい習慣として根付けば、継続も苦にならないでしょう。