「不正期間30年以上」という衝撃
ダイハツ工業の認証申請に関する数々の不正行為(品質不正)が明らかになった。12月20日の記者会見に、トヨタ自動車(ダイハツの親会社)で製造技術を統括する中嶋裕樹副社長が同席したことは事態の深刻さを物語っている。不正発覚を受け、ダイハツは26日までに国内4つの全工場で生産を停止した。
12月21日、22日、トヨタの株価は下落した。ダイハツの生産停止によって、わが国の自動車産業全体が受けるマイナスの影響は小さくはない。ダイハツの不正に関連して、同社から委託生産を受注しているスバルとマツダも新規受注を停止した。トヨタも一部車種の出荷を一時停止した。
第三者委員会の報告書によると、30年以上にわたりダイハツは品質不正を続けていた。特に、2014年以降に不正行為の件数が増加した。その背景として、親会社であるトヨタの効率性を重視する姿勢が不正の一因になったとの見方もある。
日野、ホンダ、豊田自動織機でも相次ぐ
ここに至るまで、品質不正などが発覚したのはダイハツだけではない。日野自動車ではエンジン認証不正問題が明らかになった。ホンダでは、自動車部品大手デンソー製の燃料ポンプの不具合によるエンスト発生の恐れが顕在化した。ホンダのリコール規模は全世界で約450万台に上る。トヨタグループでは、豊田自動織機にてフォークリフト向けエンジンの不正が発覚した。
一連の不正問題は、わが国経済を支えた自動車産業の信用にかかわる問題とみるべきだ。今回の問題を機にわが国の企業は、一人一人の役職員が常識と良識に基づいて、社会的責任を確実に果たす組織風土の醸成を急ぐ必要がある。それができないと、わが国の自動車産業の信用は地に落ちることになりかねない。