共産、社民、れいわとの関係再構築が進む

まず、前回の2021年衆院選でも候補者一本化で協力した共産、社民、れいわ新選組との関係再構築だ。4党は12月7日、野党共闘を支援してきた「市民連合」がまとめた5項目の共通政策の要望書を受け取り、基本的に合意した。

要望書は、

① 憲法も国民生活も無視する軍拡は許さない

② 物価高、燃料高騰、円安、不公平税制を放置せず、市民の生活を守る経済政策を行う

③ だれもが個人として尊重されるよう、ジェンダー平等・人権保障を実現する

④ 将来世代へと繋げるために、気候変動対策を強化し、エネルギー転換を推進する

⑤ 権力の私物化を止め、立憲主義に基づく公正で開かれた政治を行う

――の5点からなる。

市民連合は次期衆院選に向け、共通政策を土台に4党が候補者の一本化を進めるよう要望。各党は「力合わせができる土台が整った」(岡田克也・立憲民主党幹事長)、「自公政権の腐敗した政治をただしていく努力を、連携しながら進めていきたい」(小池晃・共産党書記局長)と、連携に前向きな考えを示した。

すぐに本格的な選挙協力に進むかは見通せないが、少なくとも野党4党がむやみに小選挙区で競合し、自公政権を利するような動きは、相当程度抑制されるはずだ。

「消費減税」の呪いからようやく解き放たれた

この共通政策にはもう一つ、面白いポイントがある。「消費減税」が含まれていないことだ。立憲にとって長らく頭の痛い課題だった「消費減税」という言葉を使わずに、4党が一定程度「まとまる」ことに成功したと言える。

消費税が5%から8%、10%に上がっているイメージ写真
写真=iStock.com/kudou
※写真はイメージです

立憲は2017年の結党当時から、自己責任を強いる新自由主義的社会から脱却し、「公」の機能強化と再分配などによって「支え合いの社会」を目指すことをうたっている。税の種類にかかわらず、恒久的な減税を強く打ち出すことは、同党の「目指す社会像」との間に矛盾をきたすことになる。

前回の衆院選で、野党4党が市民連合の仲立ちで政策協定を結んだ時、立憲は消費減税を激烈に求める他党への配慮から、渋々この政策を盛り込んだ。立憲は消費減税について、コロナ禍を受けた「時限的なもの」と極めて消極的に位置づけたが、メディアは消費減税ばかりに大々的にスポットを当てた。結果、立憲は衆院選で公示前議席を割り、当時の枝野幸男代表は辞任。枝野氏はのちに「消費減税を言ったのは政治的に間違いだった」と総括した。