前原誠司衆院議員ら5人が国民民主党からの離党を発表した。ジャーナリストの尾中香尚里さんは「国民民主の『空中分解』は今後も続く。それは過去の『保守系第三極』政党が歩んだ歴史が証明している」という――。
国民民主党の代表選に臨む玉木雄一郎代表(左)と前原誠司代表代行=2023年9月2日、東京都千代田区
写真=時事通信フォト
国民民主党の代表選に臨む玉木雄一郎代表(左)と前原誠司代表代行=2023年9月2日、東京都千代田区

前原氏の離党を「予言」

11月21日に公開した「なぜ自民党候補の落選が相次ぐのか…岸田首相の失政だけではない、立憲民主党の存在感が増しつつある理由」について、文末の記述が「予言めいてみえる」とのご感想をいただいた。その記述をまず再掲したい。

「立憲共産党」という言葉からは、立憲の党内を動揺させて打撃を与える力は、もはや失われている。むしろ今後は、この言葉にしがみついて自民党や維新に色目を使い、かつての「保守系第三極」的な立ち位置を目指そうとする勢力が、逆に打撃を受けることになるのではないか。

「予言めいてみえた」ものとは、国民民主党の前原誠司代表代行が同月30日、同党を離党して新党「教育無償化を実現する会」を結党する方針を示したことを指している、ということだろう。前原氏離党の背景に、岸田政権との協力を模索する玉木雄一郎代表への不満があるのは間違いないし、今後は日本維新の会との連携もささやかれている。

筆者は今回の離党劇を事前に知っていたわけではないが、驚きは全くない。いずれこんな事態に発展することは、ずいぶん前から火を見るよりも明らかだったからだ。

保守系第三極政党の分裂は定番の流れ

国民民主党に限ったことではない。衆院の小選挙区制を中心とした現在の選挙制度において、政権与党と野党第1党以外の中小政党、特に保守系の「第三極」と呼ばれる政党は、常に「与党と野党第1党のどちらにくみするか」を陰に陽に問われ続ける。やがて所属議員の間に「与党寄り」「野党寄り」の対立が生まれ、最後には党分裂に至る、というのは、もはや定番の流れであり、別に驚くに値しない。

自由党、保守党、みんなの党……。これまでいくつもの「保守系第三極」政党が、同様の党内抗争を経て分裂し、消えていった。もしかしたら国民民主党も、この過程に入りつつあるのかもしれない。