自公政権に対峙できるまとまりができつつある
筆者はこれまで、衆院選を「自己責任社会を目指す自民」vs.「支え合いの社会を目指す立憲など」の2大政治勢力による選択肢の提示であるべきだと、たびたび指摘してきた。その意味で、立憲をはじめ野党各党と市民連合が「立憲共産党」などのネガティブキャンペーンにひるむことなく、ともかくも21年の前回衆院選のレベルまで協力関係を再構築できたことは、高く評価したい。
「自公政権vs.立憲など4野党」の2大政治勢力による「社会像の選択肢の提示」という意味でも、望ましい流れだと考える。
しかし、2021年衆院選の段階では「ここまで」で良かったかもしれないが、現在の政治状況はもしかしたら、立憲に「それだけではすまない」行動を求め始めるかもしれない、と感じている。自民党と岸田政権が、予想をはるかに上回る速さで崩壊過程に入っているからだ。今後の検察の捜査の展開にもよるが、国民世論が野党側に「政権奪還の現実味」を求め始めたら、立憲はどうするのか。
近い将来「政権交代の現実味」を求められることになる
現在の立憲の衆院での議席数は、増えたとはいえまだ100議席を割っている。自前で擁立できた候補予定者も約170人で、全員が当選しても単独では政権には届かない。また、現在の野党4党による協力の枠組みだけでは、数の上でもスタンスの幅の上でも、自公政権に追いつける現実味を持たせることは難しい。
立憲は明らかに、低迷から反転攻勢のフェーズに入った。そうであればこそ、泉執行部は今後、これまでにない難しい党のかじ取りを迫られる。正解などどこにもないだろう。失敗すれば、ここまでの反転攻勢そのものが失速してしまいかねない。
泉執行部だけではなく、同党の所属議員全員が、めまぐるしい状況の変化に対し間違いのない行動を取れるよう、緊張感を持って臨むことが求められている。