自民党が旧統一教会から受けてきた「選挙支援」とはどんなものだったのか。ノンフィクションライターの窪田順生さんの新刊『潜入 旧統一教会 「解散命令請求」取材NG最深部の全貌』(徳間書店)より一部を抜粋して紹介する――。(第2回)
“偏向報道”に不満をぶつける人々
世界平和統一家庭連合の那覇家庭教会は、那覇市内の住宅地の中にあった。
車がようやくすれ違うことができるほど狭い路地にある、コンクリート造りの白い建物で築年数はかなり古そうだ。周囲にある沖縄特有のコンクリート住宅に溶け込んで違和感がない。
その正面入口に入ると、15畳ほどの広さのロビーがあって、椅子やテーブルが並んでいる。壁には韓鶴子総裁のポスターや教団関連団体のイベント告知なども貼られていた。それらを横目にエレベーターで2階に上がると、そこにはかなり広いホールがあって長テーブルや椅子が並べられている。
このホールを私が訪れた日、室内は重い空気に包まれていた。
「マスコミは被害を訴える一部の人たちの主張だけを取り上げて、私たちがこれまで受けてきた拉致監禁などの被害には一切触れていない。そして、我々が詐欺をやっているような偏った報道ばかりです。こういう明らかに事実と異なるデマをやりたい放題やらせていて、本部はいいんですか?」
「私は学生の頃からいろんな選挙を朝から晩まで手伝ってきました。自民党の先生もたくさん応援してきて、よく知ってますよ。それなのにあの事件以降、みんな私たちとは関係がないなどと言っている。我が身がかわいいというのはわかりますが、やはり青春時代から50年以上も信仰を捧げてきた教会ですから、この裏切りは本当に悔しいですよ。そういう我々の気持ちは、本部はわかってくれているんですか?」
集まった信者たちが、東京の教会本部からやってきた職員に対して、「悔しさ」や「不満」をぶつけていたのだ。