なぜ統一教会は自民党から頼られるのか
しかし、私もかれこれ25年以上、政治や選挙の取材をしてきたので、そのあたりの違いくらいはわかる。実際に、選挙の事務所の中に入って、ボランティアとして選挙運動に関わったり、支援者として応援をした経験のある人ならばわかるだろうが、選挙というのは、実は血湧き肉躍る「お祭り」のようなところがあって、その魅力の虜になる人がいる。
もちろん、選挙を手伝う人たちにはそれぞれ「目的」がある。単純に候補者が友人や知人ということもあれば、目指す政策を実現するためということもある。また、自分が所属している団体が応援しているので「仕事」として応援をするというケースもある。
鴨野さんも教団の関連団体として応援しているわけだが、そういう「立場」を超えて「選挙」というものが基本的に好きだということは、しゃべっていればわかる。政治や政党の動きなどについて、意見交換をする時も、少年のように目を輝かせている。もともと、新聞記者ということもあるのかもしれないが基本的に「政治」が好きなのだ。
そんな鴨野さんからある時、旧統一教会の選挙応援について話を伺ったことがある。
「選挙はやはり後援会の名簿づくりですよ。自民党を支持する宗教団体が多い中で、なぜ私たちがいろいろな政治家の先生から頼りにされるのかというのは、この名簿づくりひとつとっても違うからです」
「朝から晩までかけ回って頑張るんですよ」
マスコミはあまり報道をしないが、「自民党との蜜月」は旧統一教会だけではない。創価学会はもちろん、神道政治連盟という神道系の政治団体もあるので、神社はもちろん、その候補者の選挙区内にある寺、新興宗教などあらゆる団体が、自民党候補者の選挙事務所に「ボランティア」を送り込むのだ。
では、このように「宗教団体の呉越同舟」という状況の中で、なぜ旧統一教会ばかりが自民党との関係が注目をされるのかというと、頭ひとつ抜けた「応援ぶり」だからだというのだ。
「例えば、ある団体の選挙ボランティアは100人の名簿をつくったとしたら、その間に我々は300人分の名簿をつくる。組織力とか動員力でそれを達成するのではなく、本当に一人ひとりが朝から晩までかけ回って頑張るんですよ。候補者からすれば、自分のためにこんなに頑張ってくれるなんてと感動をしますよね。そこに加えて、私たちは誠心誠意でその候補者を応援します。例えば、ある候補者の先生は教会まできてくれたので、私たちみんなで歌などでお迎えして、頑張ってくださいとエールを送りました。すると、その先生は涙を流して喜んで、“こんな素晴らしい宗教団体とこれまで出会ったことがない”とまで言ってくださいました」