「豊臣兄弟!」(NHK)では秀吉のタフな姉として描かれる智(瑞龍院)。歴史研究者の濱田浩一郎さんは「智は3人の男児の母となり、息子たちを秀吉・秀長の養子に差し出したが、長男の関白秀次を始め3人とも悲劇的な死を迎えた」という――。
「豊臣兄弟!」(NHK)で秀吉の姉を演じている宮澤エマ、2021年6月3日
写真=WireImage/ゲッティ/共同通信イメージズ
「豊臣兄弟!」(NHK)で秀吉の姉を演じている宮澤エマ、2021年6月3日

宮澤エマが演じる“秀吉の実姉”

大河ドラマ「豊臣兄弟!」(NHK)では豊臣秀吉を池松壮亮さん、その弟で主人公の秀長を仲野太賀さんが演じています。そして兄弟の姉・ともは、宮澤喜一元首相を祖父に持つ宮澤エマさんが演じます。実際には姉・ともはどのような女性だったのでしょうか。

ともは一般的には「智」と表記されることが多いので、本稿では基本的に智と記していきます。しかし、この「智」という名も確かな史料からは確認できないので、実際のところ彼女の実名は不明。「豊臣兄弟!」など、ドラマなどでは智の母も「なか」と呼ばれることが多いですが、本当の名は分かっていません(しかしここでは便宜上、なかと表記します)。

智が生まれたのは、諸説ありますが、天文3年(1534)とされます。父は弥右衛門、母はなかですので、秀吉と同じ父母のもとに生まれたのです。ちなみに秀吉の生まれは天文6年(1537)ですので、3歳差の姉弟。秀長の生まれは天文9年(1540)で、智とは6歳差ということになります。

秀吉と同父母の長女だった

かつては秀吉・秀長は異父兄弟と言われていました。秀吉の父は弥右衛門、秀長の父は筑阿弥というように。

しかし、秀吉の実父は天文12年(1543)に死去したと史料から考えられるので“豊臣兄弟”は同じ父のもとに生まれたとする見解もあるのです。その見解を踏まえると、智と秀長も同父母のもとに生まれたということになります。

さて、智がどのような少女時代を送ったかは残念ながら不明ですが、智は弥助という男性に嫁ぐことになります。江戸中期に成立したとされる逸話集『祖父物語』(尾張国清須朝日村の柿屋喜左衛門が祖父の見聞談を書き留めた聞書)には、弥助は「藤吉郎(秀吉)姉」の婿と記されています。同書によると、弥助は尾張国海東郡乙之子村(愛知県あま市)の出身だったとのこと。弥助は同書の記述から馬貸しをしていたのではと推測されます。