一人でも「マンネリだ」と思う人がいたら終わってしまう

マンネリは、K-PROのようなイベント業にとってはかなり気をつけなくてはいけないことです。マンネリの怖いところは「伝染するところ」だと私は思います。

たとえば視聴率が高い故に同じ構成を続けているテレビのバラエティ番組について、誰かが「マンネリだ」と言い出したら、それを見たり聞いたりした人の頭の中に、「そう言われてみたらマンネリかも……」という感情が生まれてしまうのです。

その時点ではちょっとした共感ぐらいですが、一度そう思った状態で番組を見たときに、少しでもマンネリを感じたら、途端に「つまらないかも」とか、「もう見なくていいかな」と思ったりすることがあります。そうやって「マンネリだ」という噂が猛スピードで広がっていき、あっという間に終わってしまう番組が結構あります。

要は、誰か一人にでもマンネリだと思い込まれたら終わりなので、マンネリだと思われる前に、誰よりも先に自ら手を打たなければダメです。勇気を出して、如何に先に動けるかが勝負です。

どれだけ盛り上がるライブでもメンバーを定期的に入れ替える理由

たとえば、K-PROには『若武者』というライブがあります。

児島気奈『笑って稼ぐ仕事術 お笑いライブ制作K-PROの流儀』(文藝春秋)
児島気奈『笑って稼ぐ仕事術 お笑いライブ制作K-PROの流儀』(文藝春秋)

若手のバトルライブで、毎回すごく盛り上がるライブなんですが、このライブは、どれだけ盛り上がっていても、定期的にレギュラーメンバーを卒業させています。理由はもちろん、マンネリを防ぐためにです。このライブはシステム的には2009年に始めたときから一切変えていないので、レギュラーメンバーの卒業によって、新鮮さを出しています。

毎回卒業発表に関しては、先手を打っているつもりです。「卒業か。そりゃそうだよなあ」という意見よりも「え? もう少しこのメンバーで見たかったなあ」という意見のほうが多いと思います。このライブは卒業の時期を間違えたら、半年〜1年単位で続けなければならないので、タイミングを間違えないようにと毎回ハラハラします。

そんなマンネリなんですが、ときには武器にもなります。たとえば、この『若武者』ライブの一番の見どころは結果発表です。1位から順番に呼ばれて舞台に出ていき、下位になったらエンディングで舞台に出られない&次回の『若武者』に出演禁止という厳しいシステムで、先ほど書いたように、開始当時から変えていません。ずっと同じということは、それだけ長い歴史があるんですね。